36. 魔法大会
慰問が終わった後、すぐに学園に戻った。
で、部屋でめちゃくちゃ寝た。
スッキリしたぜ!
やはり高級ベッドは最高だぜ!
これがブルジョワの特権だな!
だが残念なことに、寝てたら一瞬で休暇が終わってしまった。
くそっ。
休暇のほとんどを慰問に使うはめになった。
家で使用人たちに働かせながら、オレは優雅に過ごしたかったのに……。
もう絶対に王女とは関わりたくない。
あいつは疫病神だ。
あいつさえいなければ、オレは自由だ。
さっさとオレの目の前から消えちまえ!
と、まあ
それよりも、もうすぐテストがある。
テストは嫌いだ。
だからオレはカミュラには重大な仕事を与えた。
テストを盗み出すという仕事をな。
テスト用紙はおそらく、厳重に管理されている。
オレの予想では、地下に隠されている。
以前、エムブラがこっそりと地下に入っていくのを見たからな!
オレはカミュラに「エムブラを追跡し、地下に隠されている
ここで肝なのが、あえてテストと名言しないことだ。
テスト用紙を取ってこいなど、さすがにダサすぎるからな。
だが、カミュラならきっと通じるはずだ。
実際、神妙な顔して頷いていたしな。
こいつはオレが仕込んだ使用人だからな!
オレの考えなど言わんでも伝わるだろう!
ハッハッハ!
これでテストも楽勝だぜ!
諜報部隊もたまには役に立つな!
作ってよかったぜ!
まあだが、さすがに教師にバレてまで無理に取ってこなくても良い。
学園との関係をこじらせたくない。
カミュラには「もしエムブラと遭遇したら、(テスト用紙を)素直に渡せ」と命じておいた。
これであとはカミュラがテストを奪うのを待つだけだ。
その間、オレは優雅に学園生活を送ろう。
そういえば、今度魔法大会ってのがあるらしい。
毎年、学園で行われる大規模なイベントだ。
オレはそんなイベント出るつもりはない。
出場者をVIPルームから見下ろして満足するのが、貴族の嗜みである!
と、考えていたのだが……
「アーク。あなたの分、選手登録しといた」
公爵令嬢のルインがそうほざきやがった。
は?
オレの分も登録しといただと?
クソ野郎が。
なにやってんだ?
どんな思考回路してんだ?
頭に虫でも湧いてんのか?
湧いてんだろうな。
じゃなきゃそんな考えにならないはずだ。
氷漬けにしてやろうか?
「オレが出るわけないだろ?」
「じゃあ棄権ってこと? みんなアークが出るのを楽しみにしてるのに」
「……」
くそっ。
棄権すること自体は問題ない。
だが棄権して舐められるのはオレのプライドが許さない。
マジでこの公爵令嬢、クソだな。
仕方ない。
大会でこいつと当たったら、ブチのめしてやろう。
「もちろん貴様も出場するんだな?」
「? しないよ。だってアークの観戦があるし」
まさかこいつ……オレをVIPルームから見下ろすことが目的か?
最低だな。
オレになんの恨みがある?
もしかして慰問に強制参加させたことを根に持ってんのか?
なんて野郎だ。
しつこいやつは嫌われるんだぜ?
まあいい。
出るからには出場者全員ブチのめしてやろう。
「頑張って。応援してる」
「応援はしなくていい。だが、オレの活躍を目に刻み込んでおけ」
「わかった」
ルインが目を輝かせながらオレを見てきた。
そうやって目を輝かせられるのも今のうちだぜ?
圧倒的すぎるオレの活躍で、貴様の自信をへし折ってやろう。
ふはははは!
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