第7話

東の遺跡へ行く。とは言ったものの、スターティアからそれなりに距離があるので、【ハンターオフィス】から車を借りることにした。


「フゥー、見ろよダニエル!ハンヴィーだぜ!!」


「あぁ、俺たちにとってはお馴染みってヤツだな!」


 まぁ、軍人さんの乗り物といえばってヤツだろうな。ジョンソンとダニエルがはしゃいでいる。


「ほぅ、なかなか良い車両だな。これは我々『チームブラボー』が使う事とする!!」


 声がする方を向くと、爽やかなイケメン白人男性がいた。


「マイケル中尉、どのような理由があって我々が借り受けた車両を使用するのですか!?」


「どのような理由…か、決まっている。キャシーが私のモノだからだ!」


「勝手な事を言わないでください!!貴方との交際はお断りしたはずです!!」


「照れなくてもいいじゃないか。」


「照れてません!!」


 なんだ?この勘違い野郎は!?唯我独尊が過ぎるんじゃないか?


「キャシー、そろそろ行こうか。時間がもったいない。」


「シンゴ…そうね。」


 キャシーが俺の腕を引いて歩き出す。


「待て!そこのサムライ。貴様、私のキャシーとどういう関係だ?」


「俺か?俺は…「わ、私のこ、恋人です!!」…だそうだ。」


 マイケルとやらの目が据わった。俺に対する明確な殺意の表れだろう。ヤツは手袋を外し俺に投げつける。


「拾え!そして貴様に決闘を申し込む!!」


「シンゴ、こんな茶番に付き合う事なんてないわ。」


「キャシー、君は少し黙ってくれないか?これは私と日本人ジャップの決闘なのだから。」


 面倒だな。拾わなければ尚面倒になるだろうな。


「拾ったな?さあ決闘を始めよう!」


「シンゴ…」


「キャシー、大丈夫だ。心配するな。」


 不安そうに見るキャシーを抱きしめ安心させる。


「…ずいぶん見せつけてくれるじゃないか。」


 この時俺はキャシーの顔を見ていなかったのだが、のちに聞いたところ、マイケルに勝ち誇った顔を見せていたらしい。


「それで、決闘の方法はどうする?」


「背中合わせからお互い五歩、歩き振り向くと同時に撃つ。でどうだろう?」


「わかった。」


「私の得物は【コルトSシングルAアクションAアーミーアーティラリー】だが、貴様の得物は?」


「【日本刀こいつ】だ。」


「貴様!私をバカにしているのか!!」


「至って真面目だが?」


「後悔することになるぞ?」


「かもな…それより時間が惜しい、さっさと始めよう。」


 そうして俺とマイケルは背中合わせで決闘の準備をする。

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