三章。その2『電車の中で』

「お、乗ろうか、結城。」

 さっきの歪み合いで、何かを察した環奈はお、俺の腕を取る。まぁ簡単に説明すると、あの憎たらしいリア充共がするやつだ。

 それを見ていた遥はすぐに環奈と同じことをする。

「わ、私も、あ、あとそこの女、私の結城に触れるな‼︎」

 遥が、環奈の腕を話そうとして、片方の手で、シッシッと振り払う。

 おかげで、朝っぱらから、電車の中で女二人持ってますよアピールをするクズ見たいになってしまった。

 だがそれが心地悪いわけではない。逆にめちゃくちゃよろしい。

 二人のまだ伸び代もあるが大きく育った二つのモノが当たってるし、それに、なんかリア充感あるし。

 まぁそんなことをしている俺たちをチラチラと見てくる他校の高校生等の目線が気になるが、他校ならいいだろう。

 まぁそれはそれとして、この状況、どうしたらいいんだ?

 またもや目の当たりから、電撃が走りあって相手を殺すような眼差しで睨みつけている。

 しっかりと俺の腕をホールドしながら。

「ねぇ遥先輩と環奈?」

「んん?」

 こっわ。こいつらこんな目で睨み合ってたのかよ、こっちを同時に向く彼女らは、もう申し分ないほどの鬼の形相になっていた。

「う、え、えっと、さ、このままだと、ほら、学校とかに噂になりそうじゃん?初日から会長と付き合う男とか、s級美少女二人と腕を組み合い登校する男とか。」

 ク、聞いてくれ、ど、どうか、これ以上目立たれると同じ学校の人に見つかるかもしれないんだ。

 入学式の次の日ということもあり、ここの電車に乗っている春ヶ丘生がいるかどうかも知らないのに、そこで目立たれるのは。

「そ、そうだわね。一年生も入ってきたのだし、そこら辺も考えないとね。」

 そういった後、手を離す。

 顔を見ると、遥が、顔にピンク色のチークが入っていた。ついでに眉も潜めている。

 ついついギャップで可愛い。となるのは俺だけだろうか。

「そ、そうだよ。って私なんでこんなことしちゃったんだろう。ごめんね。結城。」

 環奈もそういって手を離す。

 額に汗をこぼしながら、手を合わせてごめんアピールをする環奈。それにどきりもできない俺が辛いよ。

 なんとか二人から離された俺は、少しの悲しさと、二人の胸が当たっていた場所など至る所が生暖かい感触がなんとも言えん気持ちを作り出してくる。

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