第7話 私だけの部屋




あの後、寮の部屋の鍵を受け取り、クラスメイトに連れられて寮に入った。広々としたエントランスホールには小さな机や椅子等のラウンジ。売店の商品も、豊富に揃っている。ぱっと見えた卵とケチャップを見て、今日のお昼はオムライスかな、なんて考えながら個人部屋の鍵を開けた。



「広い…」



白色を基調とした家具やカーテン。大きめの本棚。部屋の隅にはアップライトピアノを置いて貰った。蓋を開けて1番端の鍵盤を押すと、調律したばかりのCの音がした。私だけの部屋。そう考えると胸が高鳴った。荷物の整理を済ませてふと気を抜くと、きゅるる…とお腹の時計が鳴った。時間を見ると12時を回っている。



「売店、行ってみようかな」



スマホとお財布を持って、エコバックをポケットに入れて部屋を出る。他のクラスメイト達も荷物の整理をしているのか、将又個々でなにかしているのか、廊下へ出ている人は誰もいない。もし誰かいたら一緒に…なんて一縷の望みも消えた私は、1人で売店へと向かった。








売店へ入ると、いらっしゃいませ、と店員さんが迎えてくれた。久しく触れた人の暖かさに胸がいっぱいになった気がした。卵にケチャップ、玉ねぎもあったら使えるかな、作り置きもしたいから…なんて考えながら籠に食材を放り込んでいるうちに、周りが見えなくなってしまっていたのかもしれない。とん、という感覚とともに「何かにぶつかってしまった」という思考が追いついてきた。



「大丈夫…ですか……?」

「あっ、はい…すみません…こちらこそ周りが見えていなくて…」



怪我がなくて良かったです、なんてこちらの心配までしてくれた。こちらももう一度謝罪をしなくては。と顔を上げた。




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カオス学園っ! 時雨 結 @_Yozakura

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