第3話 TV
「昨日午後吉祥寺の刑務所で、火事があり、250人が死亡。130人が意識不明の重体となりました。火事の原因はわからず、現在調査中との事です」
ニュース番組で、アナウンサーがそう言った。
「都祁さん…」
刑務所や、罪人の皆より、まず都祁さんの事を、思い出した。するとバタバタと足音がし、チャイムが鳴る。
「おーい!多鉢君!多鉢勇太くーん!」
久我さんだ。久我さんが扉の前で騒いでる。僕が扉を開けると。パジャマ姿の久我さんがいた。
「おはよう多鉢君!早速だけど今日暇?会わせたい奴がいんだけど」
「おはようございます。寝起きですか?久我さん。今日は大丈夫ですけど」
「おっけぇ!じゃ30分にまた迎えに来るから!」
久我さんはそう言うと。扉を静かに閉め、バタバタ帰っていった。
「扉だけ…準備しよ」
といっても、パジャマからは、着替えたし、朝ご飯も食べた。する事ないなぁ。
「テレビ…見よ」
テレビを見る。午前9時。
「今回は!今若者の注目を集めている女子高校生モデル「青羽アリス」さんにお話を聞きたいと思います!」
「よろしくお願いしまーす♪」
テレビでは、最近巷を騒がせている「青羽アリス」が、笑顔を振り撒いていた。
「まずですね…青羽アリスさんが着た服は、全て流行るというこの事についてどう思いますか?」
「そうですね…皆が私の着た服を着てくれているということに、モデルとしても、とてもやりがいを感じています!」
「そうですか!…ちょっとプライベートな事聞いちゃうんですけど…彼氏とかっているんですか?」
「えっ!?…彼氏はいないんですけどぉ♡気になる人はいます!」
「そうなんですか⁉︎俳優の方とかですか?」
「一般人の方なんですけどぉ…♡すっごくカッコいいんです!」
「そうなんですか!そう言えば何か宣伝があるとか!」
「あっ…そうなんです!実は私がゲスト出演してる映画があるんです!私は主人公の彼氏役なんですけど…」
そう言って宣伝が始まった。こんな子でも人を殺し…いや年齢的にあり得ないか。戦争時、この子は8歳。人を殺した人間は15歳以上が多く。10歳以下の人間は、少ないというより、一人もいない。
「以上です!私が出演したこの映画!見ないと殺しちゃうぞ♡」
「ひゃー!可愛い♡ではスタジオにお返ししまーす!」
「ありがとうございます。宮城アナ、アリスさん。次は吉祥寺の刑務所の火事についてです」
僕は聞きたくないとテレビを消した。都祁さんを思い出してしまう。恋愛感情等は、なかったが、少し友人みたいな感覚だったのかもしれない。するとまたチャイムが鳴る。
「おーい多鉢くーん!準備でーきた?」
「あっ…はい」
「なんか浮かない顔だね。なんかあったら相談してね。じゃあ行こっか」
扉の前にいた久我さんは、パジャマから、アザミ柄の着物に着替えていた。一緒に怪談を降り、ポストを見たが、どっちのポストにも手紙一つ無かった。
「団子屋なんだけどさ、俺の友達がやってんだよ」
「友達が…」
「そうそう」
友達。この人の友達ってどんな人なんだろう。
「飛建凛生って言うんだけど」
「へっ?」
思わぬ人の名前が出た。飛騨凛平。「傲慢」の死神だ。
デストニック浅草 ベニテングダケ @oojamiuo
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