心合わせ進もう、もう一人じゃないから

生き甲斐がないと取り残され現代社会。
ヤケを起こしておべっか使いながら色ボケ爺共から大金巻き上げる元看護学生の雛乃は、生活すべてが自傷行為みたいな日々を過ごしている。
朝のニュースに流れる、ＳＮＳ上で知り合った五十代男を刺した容疑者の女は雛乃と同い年。同業だと思いながら「どうせ殺るなら、死に顔の美しいひとが良い」とつぶやく。

死んだら負け。これが女の人生においてのポリシー。
世界に未練が無くなっても、自分で自分は殺さない。
けれど、そろそろ潮時かもしれない。
雛乃が社会に見切りをつけるために取った選択とは――。

自暴自棄となって誰かを巻き沿いにしようと、潜在的に持っているかもしれない現代社会をうまく描いている。