《人類滅亡》5時間前!?!?

ちゃちゃ

第1話 思い出はいつまでも。

人は出会い、そして別れる。


家族と過ごす毎日、恋人と過ごす幸せな時間、それがいつまでもずっとある当たり前だと思ってはいけない。


《いずれ、無くなってしまうものなのだから》



〜Pm.18:05〜


「未だに信じることができませんが、遂に明日が地球最後の日となりました。帰省する方や、ご家族や恋人、友人に会いに行く方で全国各地の交通機関は溢れかえっています。」

………

「本日まで、NEWS ONEをご視聴頂きNEWS ONE 一同、心を込めて感謝申し上げます。最後のひと時まで、視聴者の皆様が幸せに暮らせるよう、心から願っております。」



遂に、明日かぁ。

5日前まで、政府の嘘だ!なにかのテロだ!

とか騒いでたのに、それが明日となってはそれどころじゃないよなぁ。


強いていうなら、最後まで、あーちゃんと一緒にいたかったな。

あ!あーちゃんっていうのは俺の彼女の事。

喧嘩ばっかりしてたけど、それも今となれば幸せな時間だった。


出会いはなんだと思う?

そう。ゲームさ!(笑)

俺は、ファンタジア・アドベンチャー、通称「ファアド」で俺たちは出会った。

ファアドは、自分のアバターを操作して好きな場所へ行ける、所謂メタバースゲームなんだ。


その日、俺はファアドの遊園地に遊び行っていたんだ。

何に乗ろうか考えていたその時、俺はたった1人で遊びに来ていた女の子に目を惹かれてしまったんだ。何となく予想ついただろ?

そう!それがあーちゃん。


勇気を振り絞って、俺は声をかけた。

「行こう。」

急に話しかけた俺に、戸惑いながらもあーちゃんは俺に着いてきてくれた。

ジェットコースターに乗ったり!うさぎの乗り物に乗ったり!

また別の日には、草原に行ったり。

またまた別の日には、夕焼けの映える場所に行った。

そのまたまたまたっ、て、話しすぎか(笑)


そうして、あーちゃんと俺は出会った。

あーちゃんと遊ぶ時間は最高に楽しかった。


出会ってから、彼女になるまでは、そこまで長くなかった。


けれど、そこから先は上手くいかなかった。

遠距離だったんだ。しかもお互い学生さ。

まぁ、ネットなんてそんなもんだろ?

覚悟はしてたが、会いに行くにも片道3時間はかかる。交通費もデート代もあるせいで、頻繁には会えなかった。


だけど、それでもあーちゃんは、俺の事を好きでいてくれた。俺は幸せ物だった。


なのに俺は、そんな日常に甘えて、あーちゃんに甘えて、それが当たり前だと思っていた。


よく、もしもの話をするだろう?

俺ももしもの話が大好きなんだ。

例えば、ど○で○ドアを貰ったとしたら、あーちゃんのところに行きたいなぁ、とか。

でもいざ体験すると考えていたことも白紙に戻ってしまう。


俺は今、後悔をしている。

もっと家族との時間を大切にすればよかった。

あーちゃんの事を幸せにしてあげれたら良かった。

こんな後悔も今となっては遅い。


君はどうだい?

自分の身の回りの人が、ずっと当たり前のようにいると思っていないか?


来世とか天国とか、そんなもの俺は信じないけど、でも、死んで何も無くなったとしても、俺が生きてきたその思い出だけは覚えていたいと思うんだ。



とりあえず今からあーちゃんと最後の話をしようかな。

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