﨑里ちゃんって「あなたのため」という顔をしながら一貫して「自分のため」にしか行動してないように見えるのは……私だけなのでしょうか……?
川野と矢野くんを勉強会で引き合わせたと思えば、懲りずに今度は親世代をだまし討ちで引き合わせる。それって本当に親切なのか、第三者が安易に踏みこむべきでないセンシティブな問題をなぜこうも勢いでぶつけてしまうのか、結果が良ければその過程に潜む暴力性はお咎めなしなのか……と悶々としてしまいました。
﨑里ちゃんの「避妊には気をつけてる」発言は、個人的にちょっときつかったです。﨑里親子の間では通じるジョークなんでしょうが、逆を言えばその他の人には冗談に聞こえないですよね。川野は「嘘は言ってない」と彼女をかばいますが、あの場のニュアンス的には「私たちお盛んにやることやってる彼氏彼女です」としか聞こえず、必然的に川野は異性愛者のふりをしなくてはならない。その時点で川野の同性愛性は抹殺され、川野は自分で自分のこころを殺すような嘘を吐くことになります。
多くの当事者にとって、この「嘘をつく瞬間」の積み重ねがゆっくりとこころをすり減らす一因なのですが、﨑里ちゃんはその苦しさを軽視していたようですね。曖昧にグレーでごまかしてもよかったところを、なぜあえて白黒はっきりさせてしまったんだろう……。自分の意志で嘘をつくならまだしも、他人から嘘をつくよう仕向けられるのは、その人に自分を間接的に否定されたも同然に思えます。まぁ非当事者でまだ高校生の彼女にここまで思い至れというのも無理な話かもしれませんが。
そんな彼女をやたらヨイショする川野親子もちょっと謎というか、この人たちどんだけ自己肯定感が低いんだろうと不安になります。
私の読み方が特殊なだけかもしれないので気にしすぎないでほしいのですが……。ただ、当事者性に関することは、違和感があれば都度伝えさせていただこうと思うのでご容赦ください。
作者からの返信
小葉さま
こんにちは。コメントをありがとうございます。
ここまで読み込んでいただき、貴重なご意見をいただけることに感謝しています。周囲の雰囲気で嘘をつかせられることが当事者には非常に苦痛であるとのお言葉、忘れないようにします。
登場人物のふるまいは作中の役どころいかんですが、いかなる方向に物語を展開させようと、作者が上記を念頭に置いておかねばならないことは間違いないですね。自分が「逃げる」ことに慣れ過ぎ、「逃げられない状況で嘘をつかざるを得ない」苦しさに思い至らなくなっていると気づかされました。
小葉さまを悶々とさせてしまった﨑里ちゃんの行動は、主に、私自身の知識の浅さ・想像力の欠如それにバランス感覚のなさから生じるゆがみに起因していると思います。バランス感覚に欠ける人間が知識を一個人の経験に委ねてしまうと、ゆがみがはなはだしくなること、身をもって感じています。
﨑里ちゃんの暴力的ともいえる行動の根幹をなすのは不安です。常に怯えがあるからこそ、大事な人を傷つける恐れのある行動を突発的に取ってしまう、そんな人間として描いています。
川野親子の自己肯定感は登場人物中の誰よりも低く、必然的なものとして描いています。
小葉さまからのご指摘にはたびたび打ちのめされるのですが、同時に自分では見えないものを浮き上がらせてくれるので、とても楽しみでもあります。今後の展開が小葉さまをうんざりさせてしまわないことを祈っております(いや、祈るというのは、つまり、うんざりさせてしまう展開だろうと察しているからなのですが……)。
遂に、親子で話ができたのですね……。
過去と現在が絡み合う中で、今の竹史さんの時は動き出したのでしょうが。
﨑里さんの想いは、どこへ向かうのかな……。切ないです。
作者からの返信
プラナリアさま
こんにちは。お読みいただき、コメントもお寄せいただき、どうもありがとうございます。
川野親子、まだぎこちないとはいえ、初めての会話らしい会話ができました。竹史はようやく現在に向き合い始めたところです。
裕佳子は取り残された状態ですね。彼女の時が動き始めるのは、高校、大学を卒業して、大学院に進学してからになります。そのあいだ、竹史への想いを断ち切れずにあがきます(って、こう書くと、なんて辛そう)。
星でのご評価もいただき、どうもありがとうございました。粗削りで重たい話ではありますが、もしもよろしければゆっくりお付き合いいただけると幸いです m(_ _)m
こんばんは。
あばばばばばば(((;ꏿ_ꏿ;)))
た、大変な回や……。
しかし、とうとう、川野くん、(ほとんど)全部、父ちゃんに、言えたね……。
内容がナイーブだから、ずっと話さない、という可能性もあったから……。言えた、ね……。
作者からの返信
加須 千花さま
こんにちは、いつもコメントをありがとうございます! 励みになっております。
ああ、加須 千花さまが、ランマーで打たれたようにあばばばばばば……と……。
川野親子にとって衝撃につぐ衝撃の一日になりました。川野は基本的に父ちゃんが好きなのですが、同時にライバル視しており、決して敵わないという劣等感にも苛まれております。
互いに少しでも語り合えたのは、この親子にとって悪くない事だと思います(・∀・)
お父さん頼りないですね。息子に気を使わせ過ぎなのが気の毒に思えてしまいます。
いっぱしの大人のつもりでいても、若いうちは親のことで悩むよりも親を悩ませるくらいの自由さでいさせてあげたいと思ってしまいました。
現実にはなかなかそうはいかないということかもしれませんね。
川野は立派に頑張っていますね。確かに息切れしてしまいそう汗
作者からの返信
カワセミさま
こんにちは。コメントをありがとうございます。
竹史が頼りない父ちゃんなのは間違いないです(汗)。でもなぜか、章はこのどうしようもない父ちゃんが好きなんですよね。その感情こそ、まだ子供だった章をむしろ苦しませることになった一因といえるかもしれませんが。
ふたり暮らし、しかも息子のほうは父親が自分と同じ性指向の持ち主だと気づいているという、やや特殊な親子関係です。高校一年の時までは、微妙なバランスを保っていましたが、ご指摘のように、頑張りすぎた章が次第に疲れはじめ、その関係も変わっていきます。
これからも展開を見守っていただければと存じます m(_ _ )m
あっという間に追いついてしまいました^^;。
昔は高校生の飲酒なんて普通でしたからね。先生と飲んだことすらありました。
しかし裕佳子ちゃんは闊達ですね。
『イソヒヨドリの町で』の最初、東京にいた頃の抜け殻状態との対比がいいです。
うまく行く事ばかりじゃなくて、辛くて苦しいこともあるのが人生です。
でも目を背けるのではなく向き合う事で、人は元気が出るのかもしれないなと思いました。
川野君は最後にどんな幸せの形に辿り着くんでしょうね?もしかしてたどり着けない?今後の展開も楽しみにしております。
作者からの返信
十三岡繁さま
こんにちは! 早いですね、追いつかれちゃいました(笑)。
コメントありがとうございます。
えー、飲んでましたか? しかも先生と?! 悪い人だなあ(笑)。まあ、昔はそんな感じでしたよね。本当は未成年の飲酒の描写はアウトなのでしょうが、描写じゃなくってさらっと言及だけなので、許していただこうと思っています(と言いつつ、この先もう御一方、こちらは現代の若者でやっちゃってますが)。
裕佳子、確かに川崎にいたころとは別人ですね。川崎の友達(裕佳子ではなく私の)に嫌な顔をされそうです。
八年間のあいだ、川野にも裕佳子にもいろんなことがありました。川野の八年間の概略は明日、裕佳子については来週明らかになります。またお楽しみいただければ嬉しい限りです。
お父さんにとっては嵐?盆と正月が一緒?のようなひと時になりましたね。
ううーん、こうしてそれぞれの想いが明るみに出れば出るほど切ないです。
(でも最後は少しほっこり!)
あと「荒療治は彼女の得意技」と言う点もニヤリとしました!(^O^)
作者からの返信
北川聖夜さま
こんにちは、コメントありがとうございます!
川野の父ちゃんにとって、驚愕につぐ驚愕の一日となりました。川野親子は抱えている闇が深く、今回は、先日の「竹史の訪問」に続き、父ちゃんのほうの闇を一気に切り裂くような展開となりました。
「でも最後は少しほっこり」と言っていただけると、こちらとしても慰められます(*´꒳`*)
『「荒療治は彼女の得意技」と言う点もニヤリとしました』
ふふふ、今後もやりますよ、荒療治(笑)。
こんにちは。
「いけん」
「けち」
このやりとり、素敵です。
年の離れた友人のような親子関係に見えます。
もちろん、これからも色々あるのでしょうが。
作者からの返信
豆ははこさま
こんにちは。拙作『ハクセキレイ』にお越しいただき、どうもありがとうございます。
「いけん」
「けち」
川野親子の会話を楽しんでいただき、嬉しいです。章は母と妹と別居して九年目、父子二人暮らしになってからもすでに五年目となり、このふたりは独特の関係を構築していそうです。
竹史は無口でコミュニケーション能力に著しく欠けるのですが、そんな事情のせいで友達のような関係になっているところもあるかもしれません。このさき、﨑里ちゃんの乱入により、ふたりの関係も少しずつ変化していきます。
コメントをどうもありがとうございました。励みになります。