52 あとがき

 本作品を最後までお読み頂き、ありがとうございました。あとがきから読まれるという方、この先ネタバレを含みますのでご承知置き下さい。

 この作品は、「BL書きたいなぁ」というなんとなくのノリで生まれました。そして私お得意のショットバーを舞台にし、そこで出会わせることにしました。主人公の葵くんが大学生であることは早々に決めていました。相手役の属性については、しばらく悩みましたね。

 七瀬くんの職業を国税専門官にすることに決め、それを目指す葵くん、という構図を取ったのは、サブキャラクターたちが出来上がってからです。今の公務員試験がどうなっているかはネットで調べましたので、もし違和感がある箇所がありましたら教えて頂きたいです。

 雅司くんと椿ちゃんのキャラクターはすぐにできました。葵くんを引っ張ってくれるいわゆる陽キャですね。私は三人組の関係性を書くのが好きです。過去作でも主人公を支える人物は二人配置しています。雅司くんが関西弁なのは前作を引きずっていたからです。彼らを喋らせるのは楽しかったです。

 ところで、ショットバー通いをしていると、素敵なカップルとご一緒させて頂くことがたまにあるんですよ。初音ちゃんと大和くんはそんな方々をモデルにして作り上げました。ボクっ娘というかボクお姉さんにしたのは完全に私の趣味です。こんな常連さんたちと仲良くできたらいいなぁと思って書きました。

 亜矢子ちゃんに明確なモデルは居ません。私は過去作でいくつものショットバーを登場させましたが、初めての女性マスターとなりました。彼女の私生活はほとんど明かされませんでしたね。実は既婚者、三十五歳の設定です。最後までミステリアスな雰囲気を漂わせることには成功したのではないでしょうか。

 古枝さんは、こちらの短編から出張してきてもらいました。


遠浅に溺れて

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882695274


 私は短編を数多く書いていますが、彼女は屈指のお気に入りキャラです。もうこれ以上の完成された魔性の女を私は書くことができないかもしれない。そのくらいの人物です。葵くんとの邂逅で、彼女にも変化はあったのでしょうか。ご想像にお任せします。

 葵くんと七瀬くんの関係性には、いくつかの転機がありました。その過程を描くのは難しかったですが、やりがいのあることでした。ただ付き合うだけで終わらない。同性同士の恋愛の葛藤や苦しみを表現しきったつもりです。甘々なシーンは楽しんで書きました。読者の皆さまにとってもお楽しみどころですね。実は、七瀬くん浮気後の葵くんの豹変っぷりが想定とは大きく外れましたので、書いていた自分がびっくりした次第です。プロットには沿ってね! お願いね! と声をかけながら、二人を導いたつもりです。

 リバ有の展開になったのは完全に作者の性癖です。そっちの方が萌えるんです。地雷の人すまん。タグにはつけたので回避できましたかね……。性描写はガッツリ省いたのでわかりにくかったですが、葵くんは性には貪欲な性格です。そして七瀬くんには大抵のことを受け入れられる度量と経験があります。リバ展開になったのは二人にとって自然なことと作者側では解釈しています。

 そして、夫に感謝を。私がショットバーを舞台とした小説を書けるのは、彼が息子の面倒を見ていてくれるからです。私は息子を寝かしつけた後にショットバーに繰り出します。小説を書かせてくれることにも、ありがとう。あなたはBLが得意ではないので、この文章を読むことはないと思いますが、いつもお世話になっています。これからもよろしくね。

 最期に、読者の皆さまに感謝を。BLに釣られたものの、いきなり椿ちゃんとセックスする流れになって困惑された方もいらっしゃるでしょう。ここまで着いてきてくださってありがとうございます。そして、惣山の現代ドラマを楽しみにして頂いている固定読者の皆さま。いつも支えられています。

 今作品は、「大学生三部作」のうちの一つです。他の作品も、よければご覧になって下さい。タグをつけています。

 私はこれからも小説家を続けます。ぜひ、次の作品でお会いしましょう。またね!

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