第9話 無限の翼と『時のレジェンズ』
天才のことなど、凡人にはわからず、凡人も天才のことはわからない。
しかし、歩み寄ることが重要だろう。
ロバートの場合は、それが祟る。
体格が大きく発達し、ロバートを見ただけでビビってしまうものは多かった。
拳銃を突きつけられる国では、ロバートという天才にとって過酷なシレンを突きつけられたと言えよう。
そんな過酷な環境で生まれた天才は、己の才能の無さを恨んだ。
「行くぞ!! 神崎!!」
ロバートの究極技『 』が無限の世界から有限の世界へと逃れる。
これは気流を利用し、推進力で
対して、神崎は
「これが俺の『無限の翼』だ!!」
神崎の無限の翼の正体、それを知ったからと言って攻略法は存在しない。
しかし、ロバートは違う。
ロバートは有限の世界からさらなる有限の世界へ翔けるだけ、その有限の世界に逃れる方法が二択程度、無限の翼の相手ではない。
「あ~~~っと、ロバートが捕まり始めた!! やはり、ロバートでは無限に及ばないのか!!?」
上杉 芯を侮辱した後で、それを庇ったロバートが侮辱を受けている。
国を超えて愛された上杉は母国で嫌われて他国で英雄と呼ばれる。
他国との友好関係が見えたと思えば、老害の猿どもは面白くないと嫉妬する。
仲良く慣れる機会が芽生えても、無能はそれを阻止する。
そして、増税を無意味に繰り返して経済破綻、金持ちも国を出て生き、無能な増税おじさんや給料泥棒のゴミしか残らなくなる。
「まぁ、ロバートは所詮、有限ですからね。」
解説もそれに乗っかった。
だが、それも大きな間違いと言えよう。
ロバートは拳銃をぶっ放す国で生き抜いてきた男だ。
「流石は無限のレジェンズ、神崎!! そのバスケは天にも届く、有限である我々、人間では無限の人材を集めないと神崎を止めることができません!!」
ロバートが神崎からボールを奪い取る。
「詰まり、ロバートでは神崎に敵わないというこ―――」
ロバートがダンクシュートをぶちかまして得点をもぎ取る。
「この俺をここまでにさせたのは拳銃だけだと思っていた………上杉と戦いたかったが、まさか、神崎には驚かされる………」
神崎が最強のレジェンズから無限のレジェンズにクラスチェンジしたのなら、ロバートだってそれができる。
最強などという曖昧な評価、飛翔という見ただけの評価、それらは所詮、無能な第三者が口先で言っただけ、拳銃を突き付けてロバートを殺めようとした無能、マシンガンを向けても殺せなかった犯罪者、そんな彼らがロバートを飛翔のレジェンズなどとは呼ばないだろう。
ロバートは銃弾が飛び交う世界で生きてきた。
赤ん坊の頃にロバートは的にされていた。
犯罪者に狙われた家族は赤ん坊を人質に取られて、赤ちゃんに銃をスレスレで打つという奇特な趣味を持っていたという。
親の前で赤ん坊が拳銃の的として弄ばれる。
無論、赤ん坊は固定標的にならない。
誤射で撃ち抜かれる衝撃的な惨状を目の当たりにする家族も居ただろう。
ロバートは赤ちゃんのときに銃弾に興味を持ち、何発もその玉を追いかけた。
しかし、それが足場を破壊して危険なものだと知った。
涙を流して必死で逃れたという。
ロバートは成長段階で銃弾を克服するよう眼球が発達した。
「バスケなど、俺には止まって見える………」
ロバートは飛翔のレジェンズなどと言われている。
本当に相応しいのは『時のレジェンズ』、ロバートにとってボールの玉など遅すぎて欠伸が出るほどだ。
「『時の目』を開放する………」
そう、有限の世界はここにも存在したのだ。
「こ、これはどういうことでしょうか? 斎賀高校、パスができません!!」
スローインの世界は『無限』ではなく『有限』、スローイン時も動ける歩数が決まっている。
スローインの有限世界では、三歩歩けばペナルティ、ドリブルも禁止、手渡しパスもラインをまたぐことも禁止されている。
この有限の空間で無限を見せることなど不可能だろう。
神崎だろうが誰であろうがスローインに入ると必ずロバートが立ちはだかる。
『開眼』
その異常な動体視力が斎賀高校を襲う。
「あーっと、またパスができません!! これでは、成すすべがない!!」
バスケは必ずスローインから始まる。
普通の選手ならパスを止めることなど不可能だろう。
だが、ロバートは違う。
相手の動きが止まって見えるのだ。
銃弾も避けるロバートにとって、パスを取ることなど、余裕でしか無い。
「ロバートの奴、またやってしまったか………」
相手チームの選手が言う。
「余りにも試合がつまらなくなるから封印してたんだがな………」
スローインからパスが出ればボールをカットする。
そして、シュートを打つだけ、初めてバスケをした時、ドリブルやパスもせず、ロバートは勝利を収めた。
(なんだよこんなの反則じゃないか!!)
斎賀高校がスローインをすれば、ロバートが目前でパスを奪い取り、シュートを打つだけ、そんなバスケが5分も続いた。
最低でも5秒に2点取られてしまう。
詰まり、5分は300秒、それを5で割ると60回、60回のシュートは120点となる。
「ば、馬鹿な!!?」
前半終了時には、得点が120点差も着いていた。
「俺は元々飛ばないし、お前も飛べない。有限空間から誰も逃れられない………」
無限の翼を編み出し、無限空間を天へと拡大させたが、このスローインという有限の世界でなにをどうすればいいのか、流石の神崎もここでは覚醒できないだろう。
これには流石の毛利も重い腰を上げなければならない。
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