ブルース

ブルース

「精一杯、生きて来た」


僕は、本当に、心から、言えるだろうか


例え、喉が渇いても、例え、飢えに飢えても、


あの猫のように、強い瞳で、強い心で、


「僕は生きることを唄っているのさ」


「一秒だって無駄にはしないのさ」


心に響いた ガラスのブルース


ずーっと、僕のとなりで、りんりんと唄ってる


その猫を抱き上げて、ガラスの瞳と向き合ってみる


「お前は今唄っているのか」


「お前は今強く生きているのか」


怖くて聞けない己の代わりに


ガラスの瞳で問いかけてくる、その猫に、


いつか言おうと、いつか唄おうと、


『共に』と……


だけど、お前は星になってしまった


あの輝く空に散らばっている星の中で、


それでもお前は、唄っているのだろう


ならば、僕も生きよう


精一杯、生きよう


そして、唄おう


生きている証拠を この世界の どこでもいい


小さな足跡を付けて、歩くんだ


大きな声で 唄うんだ


「僕は 生きているよ」


「僕は 生きているよ」


「僕は 生きているよ」


お前が唄っていた ガラスのブルース


僕が 唄い続けよう


りんりん と――……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ブルース @m-amiya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ