バイトリーダー、縛りプレイを始める。
1戦目と同じく、勝負は一瞬だった。
ただし結果は異なる。
ランスロットの手の甲がテーブルに付いてる。見習い騎士達の勝利だ。
【ジャミル・N・ツェザーランドからの依頼を達成しました】
【アシスタント業務経験値を20獲得】
【依頼主の信頼度を10獲得】
【アルバイト状態が解除されました】
経験値の獲得量が随分と多いな。基本的に1しか貰えないのに。
本来ならクリア不可能な内容だったし、難易度の高低に合わせてボーナスが付与される仕組みなのかもしれない。
しかし静かだな。
見習い達が大はしゃぎすると思ってたのに。
「不甲斐ない。どうやら修練が足りないようだ」
ランスロットがマジ顔で反省してるから当然と言えば当然か。
3対1とはいえ見習いに負けたんだもんな。プライドが傷付いたっぽいね。
「そうじゃないでしょ」
ルージュが呆れたように言う。
「アルのクラスが異常なのよ」
「とうとう判明されたのですか?」
「おそらくね」
2人して俺を見てくるが、素直に答えるか悩むな。
「圧倒的な力の差を覆してしまうほどの大幅なステータス上昇効果じゃないの?」
「はい。条件が色々とあるみたいですけど」
ディティールは身内以外に教えない方がいいと思う。
ある意味ではナハトの【
とにかく見習い騎士達に報酬を与え、そそくさと自室に戻ってみる。
「しばらくは他言無用ということで」
早速とばかりにルージュとジャミルに
「しばらくというか。お墓まで持っていくほうが良いと思うわね」
「自分もそう思います」
想定以上に難色を示された。理屈は分かる。
「見習い騎士でさえ元近衛兵に引けを取らない強さを得られた。ではその元近衛兵に
「そう。本来、ステータスはただの数値でしかないの。知識や経験が備わってこそ、その真価を発揮するわ。でもそれは逆に言うと、同レベルの知識や経験を持った者同士の戦いでは顕著な差に繋がるわけ」
「しかも近衛くらいのハイレベルな人材になると、ステータスって似たり寄ったりになるんだよね。STRとVITはおおよそA判定で、後はDEX寄りかAGI寄りかくらいの差しかないって聞いたことがある」
「そうね。だからランスロットに【
「試しに来月の武術大会に参加させてみる?」
「面白い提案だけど、きっと無理ね」
「なにゆえ」
「ランスロットは堅物だもの。受け入れてくれないと思うわ」
あれか。スポーツマンシップというか、騎士道精神というやつか。
そうなると確かに難しいね。
だって【
誘いに乗ってくれないなら力を与えることもできない訳だ。
んー、基本的には権能の説明をしないでバイトに誘い、俺の独断で強化する形になるのかな。
けど支援系の権能だって教えないとせっかくの高ステを利用しきれない気もする。
この点は少し考えないといけないかもね。
特にランスロットみたいな生真面目な奴には策を弄するしかないと思う。
というかプライドが高すぎるだろ。
そもそもクラスなんてものがある時点でフェアな闘いなんてそうそうできっこないしさ。気にする部分でもないと思うんだけどなぁ。
「強力すぎるせいで用途が限定されるということもあるんですね」
ジャミルが苦笑してる。せっかく権能を理解したのにこれだもんな。
【
しかし最高峰すぎるせいで国家機密にしないといけない。
この世界には対象を洗脳したり傀儡にしたりする魔術や幻術、呪術があるからな。
俺を操作することで国内最強の戦士や魔術師を世界最強レベルまで引き上げられる訳だし、それで調子に乗って戦争を仕掛けまくる愚かな王も出てくると思うしね。
「何か良い使い道がないかなぁ」
これが宝の持ち腐れってやつかね。
クラスの詳細を知らなくて何もできなかった時よりも、詳細を知ってるのに何もできない方がもやもや感が強いわ。
内定ゼロのバイトリーダー ~転生して国のリーダーを目指してみる~ かがみ @kagamigusa
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