第二十八章 ①顕現(インカーネイション)
ゆらり…………、空気が揺らいだ。極等万能祭司は聖なる気配を察知した。
ゲイルが声を上げる。
「
クロスは口角を上げる。
「よオォしッ! 準備はいいかァア?」
四人衆はザザッ! 横一列に整列する。キリリ、アイコンタクトを交わして呼吸を整えた。
シップとゲイルは『右手』の人差し指をスッ、立てる。
クロスとイレーズは『左手』の人差し指をスッ、立てる。
四人衆はくるり、時計回りに
シップは
ゲイルが神々に呼びかける。
「
クロスとイレーズが声をそろえる。
「さァァア……、お出ましだっ!」
ピッカアアァァァァァァッ…………
キラッ! キラキラキラキラ…………
天使の
パラッ、パラッ、パラパラパラ…………
高き
ポンッ!
ポポン、ポポン、ポポポポンッ……! 可愛らしい音を立て白き可憐な『太陽の花』が無数に咲き
空の色が変わった。天上を
神々は息をのむ。
天と地、海や川、遠くの山々、吹き抜ける風……。そのすべてが
……ん? いや? あれはうろこ雲ではない! 龍神の『
イレーズが
「あ、
神々は
凛花は思わず声を上げる。
「あっ……、ゴン子さん!」
ぴょんっ!
ピタッ…………!
光の塊は凛花の目の前で空中静止した。
ズッ……! ズズッ……! ズザザザザザザザザアアアアア…………ッ!
カミハカリに参集している
凛花は辺りを見渡して
シン…………………………
結界空間を
……しかしその静寂はあっさり破られた。
「やあやあ、お嬢さん。久しぶりだねえ? さあ、顔を上げておくれ」
頭上から聞き覚えのある声が聞こえてきた。凛花は
「わあっ、まん丸お
「今日はお嬢さんの婚約祝いに来たんだよ」
「えっ? お祝いに来てくださったのですか?」
まん
「ほら、この宝珠を
「……? はい」
凛花は言われた通りに。目の前に差し出された宝珠を指先で
モクモクモクモク…………!
風神は風を起こして雨雲を呼びよせる。雷神は
シュウウウウウウゥゥ…………
風神と雷神は透明宝珠に吸い込まれて引っ込んだ。
ぐるんっ、ぐるんぐるんぐるん……っ! 円環虹が
ひゅん、ひゅん、ひゅーん……! まるで
凛花は瞳を輝かせて
「うっわあ! こんな
神々は言葉を失う。空を
再び
「凛花さん、お久しぶりです」
独特なバスバリトンの低音ヴォイスが響いた。凛花は
「わわっ、わわあっ! たっ、太郎さんっ」
「ハハ、お元気そうで?」
黄金結界上に友人『太郎』が立っていた。
「凛花さん、この度は婚約おめでとうございます。イレーズと未來の時間軸を共有する選択をしてくださいましたこと、友人として大変嬉しく思います」
「あっ、あっ、ありがとうございます!」
「どうやら凛花さんの『人生最良の日』は今日のようですね?
「はいっ! あっ、あのっ! ああ、どうしよう……。胸がいっぱいで……、うまく言葉が出てきません……」
凛花の瞳から大粒の涙が
太郎は微笑む。
「それでは改めまして、自己紹介をさせてください。『ネオ・トレジャン・ヴェルセント・マイタレイヤ・太郎(
凛花は目を丸くする。
「え? ネオトレジャンヴェルセントマイタレイヤ……、太郎さん、ですか?」
「ハハ、そうです。それにしても長くて面倒ですね。ですから
「あ、はっ、はい! 太郎さん、どうぞよろしくお願いいたします」
太郎はふと辺りを見渡した。そして思わず肩をすぼめた。
太郎(未來王)はフランクに語り掛ける。
「神々の皆さん、驚かせてしまって申し訳ありません。無二の友イレーズの婚約成立が嬉しくて不意打ちに
神々は
……人間界での
青年は神々に深々と頭を下げた。
「
極等万能祭司は共鳴して笑う。そして親愛なる友の名を叫び呼ぶ。
「
「諾っ! 太郎っ!」
「諾ッ! 太郎ォオ!」
「諾! 太郎……!」
四人衆に続いて。神々が王の愛称を
……わああっ! 太郎さん! 太郎っ! 太郎くん! タロちゃーん!
「ハハハ。はい、太郎です。どうぞよろしくお願いします」
未來王はにこやかに笑った。
カミハカリの演算 ネオフューチャー・ドラゴンゴッド 碓氷來叶 @raika_usui
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