洋画を思わせる抑えた色合いと影のある人物像で描き出すひどく乾いた社会

謎めいた事件が続く都市、記号めいた名を持つ人々、連綿と淡々と連なる死。新聞で読んだ他人の死のニュースが、突如として現実となり、眼の前の家族の死に重なる。本当にいるかどうか分からない殺人鬼を追うミステリ。

世界も人の心も荒廃し、誰もが他人に無関心な社会では昨日まで隣で働いていた青年の死ですら興味を払わない。
決して暴力的ではないものの人々には圧倒的に何かが欠けていて……

例えばミステリ、殺人、とくると「殺し」に対する動機があるわけじゃないですか。怨恨、カネ、衝動。そのどれもがピンとこない殺人が繰り返される。犯人らしき人物の姿が写っているのにそれが誰なのか分からない。

愛情の残滓の執念というにはあまりにも乾いた感情に突き動かされているように思いました。洋画を見ているような抑制された感情、母国語でなく翻訳を思わせるような直接的ではない表現。文章が気持ちいいと思いました。(ほかの方のコメント内に某作家さんの名が挙がっていましたが私は全然読んでないのでわからなくて翻訳ミステリっぽいな!って思ってました!)

ミステリなのにまだ終わってない!マジでえ!!? ちょっと早く最後まで読ませてええええええちょっとはよはよ!

って気持ちで今このレビューを書いています。
あとアルファベットの名前がすごく血縁で規則的だというのに一人だけその、   

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