第16話 エピローグ
俺は今、写楽たちとともに事務所の片づけを行っている。
調査報告を綾香氏とその親に見せながら、色々と状況を報告させてもらったのだが、その際に綾香氏が大暴れして色々ひっくり返されたのだ。
調度品も壊れてしまったので、仕方なく事務所を一週間ほど閉めて模様替えを行うことにしたのだった。
今回の儲けはほとんどリフォーム代で無くなってしまったが、呪われた金みたいなもんだから厄が落ちたと思ってパーっと使い切ってしまった。
「災難だったなぁ……」
「でもまぁ、そのおかげで柏木さんたちには危害が及ばなそうで安心しましたね」
今回何故か一緒に来ていた彼女の親が、あの暴れっぷりを見て再教育のために館詰にしているらしい。
また、彼の失踪と自殺未遂が綾香に起因することから、スムーズに婚約破棄の手続きに入るそうだ。
損害賠償の申し入れもあったが、調査費用の原資が柏木の預金だった事がわかり、これまでの弁済も含めて慰謝料を提示することで話をまとめるように諭した。
そのことを電話で幾谷と柏木にも報告したら、感謝の言葉と店で販売しているコーヒー豆の飲み比べセット、冷凍便でケーキまで届いたのでリフォームが終われば打ち上げで食べることにしている。
とまぁ、幾谷夫々に関してはこの程度で〆させていただきたい。
ここからは余談になるのだが、幾谷や島の人から話を聞いたオトクイサマと理祖島についての話だ。
理祖島も調査に乗り出したことがあるそうなのだが、ため池の水にはテストステロン
原因は特定されていないが、これがいわゆる巫女の呪いの正体であろうと推測されている。
現代ではこれらをある程度減らした状態で水道に送っているそうなのだが、定期的に女性ホルモンや大豆イソフラボンを多めに取るなどの対策が必要となり、女性が住みにくい環境であることは間違いがないとのこと。
ただ、男性にとってはホルモンが強くなることで筋肉も付きやすく、リゾートシーズン以外は非常に過ごしやすいため、男性の楽園──特に男性の同性愛者同士が住むには最高の環境だとして、自然と同好の士が集まってきやすい環境ができているのが現状だった。
そのことから、かの最後の巫女様は腐女子だった疑惑がもたれているとのこと。
男同士の楽園を夢見て、自らの命と引き換えにこの島の水を作り変えてしまったのではないか──今となっては分からないが、その目的であれば達成できているのかもしれない。
男喰島──オトクイジマ── バイオヌートリア @AAcupdaisuki
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