第15話 証拠に意味があれば捏造でもいいんじゃないかな
しばしの沈黙を待つ間に、ボクはオムライスを咀嚼していく。
「そういえば、探偵さんは僕たちについてどこまでご存じなんですか?」
完食したオムライスの皿を隣に避けつつ、資料をまとめてあるタブレットをテーブルに置いた。
「そうですね。まずは柏木さんについてでしょうか。
病的なワーカホリックだったそうですね。
その原因が、綾香さんとのデートだったとか。
非常に浪費家だったそうですね」
「とてもよく調べられていますね。その様子だと綾香は親の決めた許嫁だから、別れたくても別れられない事もご存じで?」
「無論です。
これを知ってから、単純に報告を行うのではなく『綾香さんから婚約を解消したい』と思える報告書をあげようと思いました」
偽る必要はない。
きちんと伝えることで協力者にしてしまおう。
「ほう、それでこの席を設けたというわけですね」
「ええ、浮気調査の報告書を渡したら激怒される──なんてことは日常茶飯事ですからね。
直接的な苦情を言いに来ないようにある程度は向こうで済ませるつもりですよ」
「お気遣い感謝いたします」
「まぁ、柏木さんがこの島で自殺未遂をするほど追いつめられていたこと、同じような体験をした幾谷さんと運命的に惹かれ合ったことが奇跡的でしたね。
安心してください。
現地で恋人を作ったことに関しては報告しますが、幾谷さんのことはぼかしておきます」
「いえ、公表してあげてください。
プライドの高い女性が男を男にとられたとなれば、最悪憤死レベルで怒り出すでしょうし、その方がスムーズに婚約破棄の手続きに入るでしょうから」
流石と言うか肝が据わっている。
普通この状況で落ち着いて話せる人は少ないだろうが、この二人は一回死を覚悟したうえで生きる覚悟をした人間なのだと再認識させられる。
「承知しました。その点についてはお二人の意向に添わせていただきます。
それも加味してなのですが、お二人が付き合ている証拠の音声と写真を撮っておきたいなと思うのですが……」
「おや?盗聴音声とかでごまかすと思っていましたが……あえて取り直すのですか?」
「そうですね。あの音声はあまりにも生々しすぎるので……バックヤードでキスしてるくらいじゃないと使いにくいかもですね」
「分かりました。
それは後で録音しましょう」
その後、二人のなれそめを聞かされたり、急いでいちゃついてる写真や盗撮風音声を作成し、島での調査を終えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます