AM2:50~エンディング。

 ~♪(ブリッジジングル)


『さあ、ハイウェイ川島のワンナイトジャパン! そろそろ今日で終わりということで』


「その言い回しは語弊があるんじゃない? 本当に今日で終わるかもしれないけど」


 ガチャ(ドアを開ける音)


「いやいやいやあー。大丈夫かい?」


『あれ、誰ですか? なんか知らない人が入ってきましたけども!』


「いや本当に誰よ! ちょ、ちょっとスタッフ!?」


『なんか迷い込んできた感じでしょうか? テンション上がってきましたけども!』


「なんでテンション上がるのよ! 校庭に犬が迷い込んできたのとはわけが違うのよ!?」


「いやあ~急に僕のSNSがバズりましてねえ、なにかなあと思ったら、こちらで私の名前を出していただいたみたいで。四国から飛んできちゃいましたよ」


『え!? まさか、プロレスラーのスサノオさんですか!?』


「いやーああはっはっはっは。四国の讃岐うどんこと、スサノオです」


「讃岐うどんは元から四国なのよ。あとこの短時間でどうやって四国からきたのよ」


「いやいやいやあ。それにしても奈落野くんの美声。んん~ラリアットをされたくらいの衝撃と心地よさだったよお」


『あ、ラジオ聞いて下さってたんですか?』


「ああ。素晴らしい美声だった。のどちんこ自慢に出れば優勝間違いなしなんじゃないかい?」


「のどちんこ自慢してどうすんのよ!」


『あ、あ、あの二人とも、放送禁止用語はやめてください』


「ああ、ごめんなさい。そんなつもりじゃ……」


 ジャーン(ギターの音)


「ちょっと待てヨ!」


『あ、偽物の方のスサノオさん!』


「フザケンナヨ! ボクが本物のスサノオだヨ!」


「いやどっちも本物で良いでしょ別に」


『いや、ここは冷静に。ラリアット対決で決めましょう!』


「フザケンナヨ! 僕が不利すぎるダロ!」


「そもそもラジオでやる内容じゃないでしょ」


『さあ、どっちが本物か白黒つけましょう! プロレスラーのスサノオか! 讃岐うどんのスサノオか!』


「フザケンナヨ! ソレどっちもボクじゃないダロ!」


「いやあ~、ギターの弦を讃岐うどんに変えたら良いんじゃないかい?」


「オマエ黙ってろヨ!」


 バタバタ(足音)


「ううう、ごめんなさいいいいいいいいい!」


『ああっ! ハイウェイ川島さん! よかった、ご無事だったんですね!』


「ううう……六股不倫の炎上が怖くて逃げだしたんだけど……奈落野さんが一人で頑張るところを聞いていたら、逃げちゃダメだって思えて……!」


『そうだったんですね……でも戻ってきて下さってよかった! リスナーのみなさん、是非『ハッシュタグ六股不倫で仕事すっぽかし』で呟いて、番組を盛り上げてください!』


「鬼かアンタは」


「いやいやいやあ〜、六股不倫には僕のおしおきラリアットをお見舞いしようねえ〜」


『あああすごい! 生のおしおきラリアットが見れるんですね!』


「え!? い、いやラジオですし、ラリアットなんて伝わらないですって!」


『確かにそうですね! おしおきラリアットは番組終了後にしましょう!』


「いやもっと意味ないよソレ!」


 (スタッフの小さな声)


「ああ、番組終わっちゃう! とにかく奈落野さん! 最後までこの番組を支えてくれてありがとう! キミは本当にすごいよ!」


『そ、そんな……。私だけの力じゃないです。支えてくれたスタッフさんや、駆け付けてくれたみなさん、そしてこんなミジンコのラジオを聞いて下さったリスナーさんのお陰です!』


「ボクもいるZE!」


「帰れ、わたあめッ!」


「じゃあ最後は、本日の主役に決め台詞言ってもらって締めましょうか!」


『スサノオさんの決め台詞って、讃岐うどんに勝るもの無し! でしたっけ?』


「なんなのよその決め台詞は!」


「いやあ〜、全然違うよお〜」


「しかも全然違うのかよ! じゃなくって、本日の主役は奈落野さん! 君だよ!」


『ええっ!? わわ私ですか!?』


 ジャジャーン(ギターの音)


「エンディングテーマはボクが引いてあげるヨ!」


『すごい! スサニストさんの生演奏!』


「ギタリストみたいに呼ぶナヨ!」


「じゃあ準備はいい? 奈落野さん! あの決め台詞言っちゃって!」


『は、はい!』


「せーの!」


「「お前ら全員!」」


『奈落に突き落としてやろうかあああああああッ!』


 パチパチパチ(拍手の音)


「……まあ正直、もう落ちてるのよね。全員」

 

 


 ~♪(エンディングジングル)


 

 

 こうして炎上と放送事故だらけの地獄ラジオは幕を閉じた。

 今回放送されたハイウェイ川島のワンナイトジャパン第五百回は伝説回となり、二時間の放送を乗り切った超無名地下アイドル奈落野楽奈の名は、瞬く間に世間に知られることとなった。


 

 

 

 

 ~♪(オープニングジングル)


『さ、さあ本日より始まりました、奈落野楽奈のワンナイトジャパン! こここここからのお時間は、みんなのおみみみみみのサティスファクション、泥団子三期生奈落野楽奈がお相手させていただきます! おおおまえら全員、奈落につつ突き落としゅにゅやりょいやまにまああああああ嚙んじゃったああああああッ!」


 ~♪


『あ、いま流れ始めた曲はですね、泥団子三期生のセカンドシングルです! なんと作詞をハイウェイ川島さん、作曲をスサノオさんが担当してくださいました! それでは早速聞いてください!』


『深夜の人気ラジオ番組になぜか奈落級の地下アイドルが呼ばれてしまい、地獄みたいな放送になった件。(feat.フィーチャリング西瀬マル)です。どうぞー!』


 

 

 ――――▶▷▷ おわり。





 

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深夜の人気ラジオ番組になぜか奈落級の地下アイドルが呼ばれてしまい、地獄みたいな放送になった件。【セリフのみ】 大入 圭 @fullhouse_k

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