彼女が描く絵は、奇跡を越える。

絵を具現化する魔法を使う画導士、ノヴァ。その力を医療に使う心優しい女性。しかし黄金螺旋画法を使える彼女の力を危険視した国の判断で投獄されてしまう。
牢を出るための条件としてまさかの「結婚」を申し出てきたのは、ヴェール公爵家嫡男であり、画導騎士団長でもあるアエルだった。

監視下に置くための契約的な結婚。そう思っていたのに、アエルはなぜか最初から親愛度MAX!「借りがある」と説明し、ノヴァを溺愛するアエルに私の口角は上がりっぱなしでした。それはアエルが超絶美形男子だからというだけではありません。この世界では男尊女卑の思想が色濃く蔓延っています。女性は女性らしく女性の役割をこなしていればそれでいい。だからノヴァのように優れた画法を扱えたり、それで功を成そうとしたり、国家画導士の名誉に付こうとするとやっかみが生まれます。「女のくせに」と言われて続けるノヴァを、アエルは全力で支えてくれるのです。彼は女性を尊重するのと同時に、ノヴァ自身を肯定してくれます。彼女の生き方、やりたいことを夫としてバックアップしてくれる姿に、「地球上の男性の全てがアエルだったらいいのに」と身も蓋もないことを思ってしまいました。

何より、困難だらけな茨道を傷だらけになっても進もうとするノヴァがかっこいい。信念のある女性は強く美しいのです。命の灯火が風前に晒される医療の現場で彼女が絵を描く姿は凛々しくて、女性として憧れます。そりゃあアエルも惚れるよ、と。

描いた絵が具現化すると言う設定は、メディアミックス化したらとっても映えそうな要素でいいなぁと思いました。強く逞しい女性の代表格である副団長テッサ、掴みどころがないけど「この人すごそう!」と思わせてくれるイケオジニャーさん、王様大好きラブラブ王妃シュリーナなど、脇を固めるキャラクターたちも精鋭揃いです。アエルさんがノヴァさんに過保護になるのもわかります(笑)

文字で彩る絵画ファンタジーと言うのでしょうか。新しい世界を見せてもらえたような気がします。
信念を貫く女性の生き様を追いたい人におすすめの一作です!ぜひご一読あれ!

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