スカム

Unknown

スカム

現在深夜の4時だ。そろそろ寝ようと思って、睡眠薬を飲んだ。手元に酒が無いから麦茶で流し込んだ。麦茶うまい。


心にぽっかり穴が開いてる。


フ●●されたくて、心に穴が開いている。


「あなたは『いい人』だから、いつか女の子に愛されるよ」って言われた。でも愛される才能が無い。愛される気配が無い。


というか、俺って全く「いい奴」じゃないけどな。


中学時代から俺は気持ち悪かった。


中1の時に中3の好きな女の先輩の歯ブラシを家に持ち帰って口に含んだりした。全くバレなかったけど、普通に大犯罪だわ。


当時、俺は2個上の先輩が好きだった。


「惡の華」という漫画がある。中2の男の子が同じクラスの女子の体操服を持ち帰るところからストーリーが始まるのだが、俺は好きな女子の歯ブラシを持ち帰った。俺の方が遥かにやばい。


事実は小説や漫画より奇なりって言うから。


とにかく俺は中1で性に目覚めた頃からゴミだった。人間界のゴミだった。しねばよかった。


「スカム」で画像検索すると、俺がたくさん出てくる。俺は、まさに汚物。救いようの無いゴミ。どぶ。トラッシュ。スカム。色んな言葉が浮かびます。


俺は自分をゴミで気持ち悪いと思ってるから、わざわざ良い人ぶるつもりは全く無い。俺のことを嫌いになるなら嫌いになってくれ。別にどうでもいい。


朝が来て、俺は酒を飲んでいる。


中学時代、妄想の中で俺は何度も何度も先輩と手を繋いで、一緒に帰り道を歩いた。


愛莉さんっていう名前だった。


中1の時の俺は、妄想の中で愛莉さんと付き合っていた。実際に喋ったことは数回しかない。


でも妄想の中では毎日おなじ帰り道を手を繋いで笑い合いながら下校していた。まぶしい夕焼けの中を。


俺は野球部で愛莉さんはテニス部だったから接点が無かった。しかも俺は中1で愛莉さんは中3。すぐ卒業してしまった。


愛莉さんは今もう28歳か29歳。お母さんになってても全くおかしくない。


愛莉さんは知らない。オレがあなたの濡れた歯ブラシを口に含んだことを。その直後、絶大なる罪悪感に包まれて死にたくなったことを。


俺は来月で27歳になる。


気色悪いオレは、ただ酒を飲んでいる。そして何気なく中学時代を思い出している。


オレの手首や腕はいつの間にかボロボロになってしまった。


本格的に自傷をするようになったのは23歳の時だから、割と遅い方だった。


今では何もしてないけど、たまにタバコで腕を焼く。リストカットしてる女の子が、それを聞いて「痛そう……」と神妙に言ったのでオレは笑ってしまった。俺からすれば、タバコで腕を焼くよりもナイフで手首を切ることのほうが遥かに痛そうに思えるからだ。


何日か風呂に入っていないので、髪がベタベタしている。


酒を飲んでいる。


俺に幸せになる資格は多分ない。


群馬サファリパークのホワイトタイガーの赤ちゃんが可愛い。サファリパーク行きてえなあ。


とりあえず俺はテロや戦争に反対する。


昨日、ドラッグストアでワンカップの安い日本酒を買った。その際に余った小銭を募金箱に入れた。すると店員のおばちゃんは「ありがとうね」と言った。


俺からすれば余った小銭を募金するのは当たり前のことだ。


この世界で苦しみながら生きてる奴が少しでも豊かに生きていけるように俺は願ってやまない。


俺個人の悩み事より、戦争してる奴らの方が俺にとっては大切だ。


もしも世界が平和になれるなら、俺は一生彼女なんて要らない。


ぶっ殺してくれ。俺の中のバケモノを。


生まれ育った故郷から遠く離れて、俺は独りで生きてる。


俺が中学生まで仲良かった幼馴染の女の子は風俗嬢になっていた。でも今では一児の母になった。


俺は会社を辞めてニートになって、誰とも関わらない引きこもりになって、何度か自殺未遂して、今はアパートで慎ましく暮らしてる。


他にも色んな友達がいる。


その全てが順風満帆な人生ってわけじゃない。むしろみんな上手くいかない時期や腐っていた時期を持っている。とても悲しい経験をした奴の方が大半だ。色々あるのが人生さ、みたいな曲の意味が今では分かる。


いつの間にか俺はおっさんになってしまいそうだ。


そういえば俺は成人式に行かなかった。当日は普通に会社で働いていた。


高校時代、俺はゴミになったから、もうみんなに会いたくなかったのだ。


成人式なんてどうでもよかった。


もう誰にも会いたくなかった。


あのとき、あの選択を間違えてなかったら、きっと俺には彼女がいた。あのとき、あの選択を間違えてなかった、俺はきっとこどくではなかった。


でも結果として俺は孤独だ。


多分どこかで何かを致命的に間違えた。


でも今更どうこう言うつもりはない。


どうか俺に携わった全ての人が幸せであるように、俺は酒を飲みつつ、願っている。ついでに俺も幸せになりたい。むしろ俺の幸せの方を強く願っている。


まだまだ時間はある。


まだまだ俺は終わってない。「もう人生終わったな」と思った時こそが、俺らのスタートラインだ。


さあいこうぜ!!!!!!!!





終わる

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スカム Unknown @unknown_saigo

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