大文字伝子の休日39
クライングフリーマン
苦渋の決断
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。時々、伝子から「クソババア」と言われる。
藤井康子・・・伝子の隣人。モールで料理教室をしている。EITO準隊員待遇。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。愛宕の相棒。
久保田管理官・・・EITO前司令官。斉藤理事官の命で、伝子達をEITOにスカウトした。
芦屋三美(みつみ)・・・芦屋財閥総帥。総合商社芦屋会長。EITO大阪支部のスポンサー。総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。
中山ひかる・・・以前、愛宕のお隣さんだった。謎解きが得意な大学生。伝子達の後輩。
青木新一・・・Linenを使いこなす大学生。友人の致傷事件の関係者。後に伝子達の協力者になる。
山下いさみ・・・オクトパスの「枝」だった。拘置所に入っている筈だが?
東山英一・・・SAT新隊長。
真中瞳看護師長・・・池上病院看護師長。
真中志津子総師長・・・池上病院相談室長兼総師長。
小田祐二・・・やすらぎほのかホテル社長。
服部源一郎・・・伝子の高校のコーラス部後輩。シンガーソングライター。昭和レトロなレコードを探して、伝子達に紹介している。
服部(麻宮)コウ・・・服部の妻。夫を何とか音楽家として世に出したいと願っている。
南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師だったが、今は妻と共に学習塾を経営している。
南原(大田原)文子・・・南原の妻。学習塾を帰営している。
南原蘭・・・南原の妹。美容師をしている。山城と事実婚。
山城順・・・伝子の中学の書道部後輩。愛宕と同窓生。海自の民間登用の事務官。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
依田(小田)慶子・・・やすらぎほのかホテル東京副支配人。
=================================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
=EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズ後方支援部隊である。=
==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==
池上病院。午前9時15分。伝子の病室。
オクトパスとの決戦から、一夜が明けた。
「お義母さん、ありがとうございます。」と、高遠が入って来た。
「婿殿。よく眠れた?」「池上先生から入眠剤を頂きましたので。」
「じゃ、交代するわ。介護士は、当面ハーフタイムにしたから、仕事終ったら、仮眠して、夜また来るわ。」「済みません。」「「いいのよ。」綾子は帰って行った。
「首が据わったら、打ち明けるか。半年位先だけど。」「うん。伝子の気持ちの整理がついた時でいいよ。それより、当分逢えないよ。我慢出来る?」
「退院は10日後だ。お前こそ、覚悟しろ。」「はいはい.お義母さんは、改めて子作り頑張れって言ってるよ。覚悟は出来てるよ。ああ。届は副総監が手配して完了したらしい。警視から、言って来た。」
「そうか。一番迷惑かけるのは、お前となぎさとあつこだからな。」伝子は感慨深げに言った。
真中看護師長と真中総看護師長が入って来た。
「大文字さん。任せておいて。私たちに。」と。総看護師長の志津子が言った。
「任せします。」と、高遠と伝子は口々に言った。
志津子が出て行った後、「今日は千客万来ね。見て、2人とも。こんなに人気よ。」と、瞳は『面会表』を見せた。
「東山さんがトップなのね。SATの新隊長。私の素顔を見て驚いていたわ。」
その、東山が入って来た。「実は、高速道路玉突き事件の捜査本部にいたんです。警察のオブザーバーとして、来られました。」
「あの時にお世話になったのね。南原が怪我をしたから、関わらざるを得なかった。まだEITOは本格的には稼働していなかった。藤村警部補は残念だったわ。」
「藤村警部補と相棒だった時もあります。本当に残念でした。あ。今回は、我々はお役に立てなくて申し訳なくて、真っ先にお見舞いに参じました。」
「いえ。非情に助かりました。東栄エキストラクラブの方々は、言わばボランティアの大部屋俳優。皆、何らかの武道の心得のある方々です。SATの隊員で、ご不満の方もおられるようでしたが。私が身重なのは、EITO隊員だけでした。決戦に『大将』が出ないと、オクトパスも納得しないと思い、参加しました。実は、EITOランス戦の前は、逃げていました。見つからないように。でも、やはり体が持たなかったみたい。誰の責任でもない。私の責任です。ごめんなさい。これからもよろしくお願いします。SAT隊員には内緒にお願いしますね。」
次に入って来たのは、出版社の山村だった。
「1番乗りだと思ったのに、大文字くぅん。ごめんね。子供は残念だったけど、母体は大丈夫だったのね。あ。当面、原稿はいいわよ、2人とも。」
3番目に入って来たのは、物部夫妻だった。「1番乗りだと思ったら、3番目。SAT隊長は、明け方にはもう来ていたそうだ。」と、2人に報告した。
「退院したら、快気祝いしてあげるからね、伝子。」と、栞は言った。
「うん。栞は、ちゃんと産んでくれ。」伝子は栞の手を握って言った。
次に入って来たのは、やすらぎほのかホテルの社長、小田だった。
「今日は結婚式が多くてね、依田君も慶子も来られない。それで、私がお見舞いに来た。とても残念だったが、主治医の池上先生が、まだまだ産むチャンスはある、と言っておられる。私も信じているよ。」「ありがとうございます。
次に入って来たのは、鈴木校長だった。「南原さんに連絡を受けてね。今日は、塾で模擬試験をするそうです。それで、様子を見てきてくれないか、と頼まれましてね。お元気そうで何よりだ。」
「もう、大分点滴を受けましたからね。10日で退院予定です。後は、自宅療養かな?」
「有能な部下が大勢おられるのだから、少しはゆっくりされた方がいい。そうですね、高遠先生。」「先生?」「小説家なんでしょ、『本来』は。では、後がつかえているようだから、これで。」
次に入って来たのは、ひかると青木だった。
「久しぶりのコンビだな。ひかる君。夏休み楽しんでいるかな?」と高遠が言うと、「明日帰る予定で、高遠さんに連絡したら、大変なことになっているって言うんで、やって来ました。夕方の新幹線で帰ります。もうすぐ『大文字』だから。」
「ああ。送り火か。もう、お盆だね。物部の話じゃ、下宿からよく見えるらしいね。」と、伝子は言った。
青木が、「大文字さん、って、大文字焼きの大文字だよね。前から聞きたかったんだけど、関係あるんですか?」と尋ねると「さあ、どうだろう。あまり気にしたことはないけどな。でも、ウチの名字変わってるから、よく『おおもじ』さんって、間違って呼ばれたことはある。『だいもんじ』ですって返すと、『ああ、そっちですか』って言われる。」と伝子は応えた。
「名前は、読み方説明しても、なかなか分かって貰えない場合があるからね。僕も、『こうえん』さんって読まれて『たかとう』です、って応えると『ああ、そっちですか』って。」
「『そっちですか』は失礼な表現だなあ。僕も新幹線の切符取ってあるんです。一緒に送り火見ようと思って。」「気をつけて行ってらっしゃい。」
次に入ってきたのは、早乙女元隊員だった。3人の子供を連れて来ている。
「隊長。また、母ちゃんを復帰させてやって下さいよ。白バイ隊より張り切って仕事してたのに、しぼんじゃって。」「殉職しても本望だと思いますから、活躍させてやって下さい。」「お前達、でしゃばるんじゃない。今日は、お見舞いだよ。」
「退院したら、理事官に相談してみる。本人次第だがな。隊員復帰は。」
「退院したら、隊員?」3番目の子供が自分で言って自分で笑った。
伝子も高遠も、早乙女も釣られて笑った。
次に入って来たのは、何故か筒井と利根川のコンビだった。
「療養中に、どうかな?とは思ったが、理事官が了解してれたから、午後の会議の前に寄ったんだ。」
「大文字さん、テレビ局の楽屋に、こんなものがあったんです。」と、利根川が出したのは、ワープロ文書だった。
《
やっと、私の番です。私は手強いですよ。基本的にノーヒントにします。
覚悟しておきなさい。
利根川氏が親しいようだから、EITOに、大文字伝子に伝えなさい。
》
「原本は、警視庁で保管、念の為指紋等は調べている。」と、筒井が言った。
「どのテレビ局?」「テレビ3です。最近、対談番組が出来て、MCをやっています。」と、伝子の問いに利根川は応えた。
「早速の挑戦状ではあるが、まあ、挨拶状だな。取り敢えず、ゆっくりしてくれ、と久保田管理官がやって来て言った。
「今度から、医者の言うことをちゃんと聞け、跳ねっ返りが。」と須藤医官が入って来て言った。「飯星!」と、須藤は廊下の飯星に声をかけた。
「高坂といちゃつく暇があったら、ちゃんと監視するんだ、いいな!」「はい。」
須藤は、すぐに出て行った。
「あの方は?」と尋ねる利根川に、「触らぬ神に祟りなし、ですよ、利根川さん。」と高遠は言った。
「はあ。神様ですか。大文字さんは、色んなお付き合いがあるんですね。」
久保田管理官と筒井と飯星は、必死に笑いをかみ殺した。
午後1時。
「三美さんからメールが来たよ。流産したが、当分内緒にしてくれって返信しておいた。南部さんにも大前さんにもね。」
高遠の言葉に、「すまないな、学。」と、伝子は涙した。
入って来た池上院長が、「あらあら、高遠君、愛妻を泣かせちゃダメよ。」と冗談を言った。
看護師が点滴を変えている間、池上院長はさっと、脈を取り、「順調ね、『どちらも』」と言った。
午後3時。理事官と久保田管理官、夏目警視正、なぎさ、あつこ、みちる、愛宕、橋爪警部補が入って来た。
「今回は、一番人数が多いわね、あなた。」と、伝子は高遠に優しく言った。
「そうだね。点滴は明日まで。食事は明日から病院食。退院予定は10日後です。」と、高遠は皆に報告した。
「10日後まで何事も無ければいいが、万一の時は連絡用PCを置いてくれるそうだ。」と、理事官は言った。
「気にせず、ゆっくりと言いたいところだが、やはり君がいるからまとまる組織だからね。」と、夏目警視正は言った。
「須藤先生にボロかす言われました。」「まあ、そういう人だからね。」
「会議の時、皆で押しかけないよう調整するよう言っておいたわ、おねえさま。」と、なぎさが言った。
「皆、気持ちは一緒よ。皆、分かってるわよ、おねえさま。。」と、あつこは短く言った。
「高木君達も行くって言うから、『男子は後よ!』って言ったら、泣きそうな顔してたわ、おねえさま。」と、みちるは言った。
「大文字伝子あっての、DD、そして、EITOだから。皆待っててくれますよ、先輩。」と、愛宕が言った。
「その通りです。私もあなたに逢えたから、転属希望を出しました。丸髷署が一番協力体制だから。」「そうだったんですか?」「警部。勘弁して下さいよ。3回目ですよ。前にも言いましたよ。」
橋爪警部補の突っ込みに、皆爆笑した。
午後6時。
依田、慶子、南原、文子、蘭、山城、服部、コウ。福本夫妻以外のいつものDDメンバーが集まった。
池上院長は、夕食(流動食)の準備を遅らせるように、看護師に指示した。
―完―
大文字伝子の休日39 クライングフリーマン @dansan01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
43年ぶりの電話/クライングフリーマン
★12 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます