第4話
どうすればいいのか、と思いながら町の中をさまよった。
正直、町、と呼んでいいのどうかすら見当することが難しい。だって、家もない、あるのは粗末なテントだけ、そして今まで通ってきた場所とは異なり、みなが生活を、営めていない。
僕は、ぼんやりとそこを歩きぬけ、またロボットがいる町へと戻った。
ロボットは、いつも人を助けている。そもそも、感情って何なのかな、ロボットは、僕らのことをどう思っているのだろう。
生き物が進化を続けるように、彼らも変化したのだろうか。
そんなことを思いながら、忙しく立ち働く彼らを、眺め続けた。
「いらっしゃいませ。」
「ああ、こんにちは。宿泊は可能ですか?」
僕はとりあえず、暗くなってきてしまったから町の中にあるホテルの泊まることにした。外観は美しく、これもロボットが作ったのだろうか、と思っていた。
僕は、父と暮らしている間、世界がどんなものであるのか、どんなことが起きているのか、どんな人が住んでいるのか、なんて話を、ずっと聞かされ続けていた。
そして、それを聞いて、空恐ろしい気持ちばかり感じていて、確かに、父が言うように、世界にロボットがいなくなったら全てが立ちいかないようにも思う。
誰が、実務的行動をとるのか、といえばそれはすべてロボットが担うことになっていた。人々は、ロボットがしてくれることの上に、胡坐をかいているようにすら見えた。
だからむしろ、感情があるという彼らロボットは、それで満足なのだろうかとさえ思った。これは人間の視点からなのであって、ずいぶん傲慢な物の見方であるのかもしれないが、だがこき使われている、と言ったら確かにそうで、僕は心の中にむず痒いものを感じる。
そして、気付く。
人間には記憶がない、それをロボットが操っている、操作している、確かにそうだ、誰もかれもが記憶を保持できる僕とは違って、今日明日昨日その前、全てのことに一つたりとも関心を抱いていなかった。
では、最早ロボットとは何なのであろうか。
考えれば考える程、僕は分からなかうなった。
自分と別種の生き物が世界の善悪を握っているかのようで、そこから一人はみ出してしまった自分は、言いようのない孤独に襲われるしかなかった。
せめて、誰かこの事実を共有できる人間に会いたい、と思っていたが、それはなかなかに難しいことのように思われた。
いや、あそこの町の人は、確かに記憶を持っている。が、しかし何かが違った。彼らはロボットを恐れている。そして他人とそれを共有しようなどとは思わない。
僕らはもう誰とも、手を取り合うことはできない。
なぜか、断絶された陸地の中心で、僕は一人立ちすくんでいる。呆然としながら何かを捉えようとしているけれど、そこには何一つ存在するものがない。
父が探していた、ロボットへの違和感を、どう解消すればいいのかが分からない。
僕はだから、この叫び出したい衝動を、抱え込みながら眠りについた。
嘘つきの居場所 @rabbit090
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