episode5 Play Ball

この世界には、どこでもキャッチボールをする文化がある。


キャッチボールには、人の個性が出る。豪速球、変化球、直球と技術は様々である。

そのため、私はキャッチボールに細心の注意を払う。


………


とある大学生とキャッチボールをした。


「お前、最近インターン始めたって聞いたけどどう?」


そう彼が言うと、豪速球で変化球なボールが飛んできた。


「何が聞きたい?IT系のインターンなんだけど、ためにはなってるよ」


と少し弱めに投げる。


「ためになっているならよかった。大学生活の方はどうなの?」


さらに豪速球が来た。ぎりぎり取れはするがキャッチボールをしたくないって思うほど嫌な球しか投げてこない。


………


とある医師とキャッチボールをした。


「安楽死についてあんたは賛成か反対か?」


そう言って、綺麗な球が飛んできた。医者らしいなと感じながら返球する。


「安楽死には積極的安楽死とかもありますよね。うーん、医師としては怖いですよね。」


こう答えてるとその医師は僕の球を取れなかった。


………


とある日にキャッチボールの練習のために壁打ちをした。

練習することは非常に大切である。

力加減など考えて投げる。


「俺ってなんでこううまくできないのかな」


と言いながら壁にボールを投げる。帰ってきたボールをギリギリのところで掴み、投げる。


「やっぱり相手の受け止め方のせいかな。」


そう言って帰ってきたボールを取ろうとすると取れなかった。


………


この文化はこの世界ではずっとなくならないものである。

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