第22話 計画通り…⑤

イジメの内容は噂で聞いた限りだと、授業で配布されるプリントをわざと渡さなかったり、進路関係の重要な手紙をわざとゴミ箱に入れたりなどのことから始まり、ついにはノートをカッターで切ったり、教科書を水浸しにしたりしたそうだ…


俺が学校でイジメの現場を見ない限り上手いことやっているらしい…霧雨も先生に一度、『いじめられているんです…』みたいな感じで言っていたのを聞いてしまったがまともに取り合ってくれているような感じはしなかった…


いじめが始まってからというもの、いつも一緒に居た女子は少なくなっていった…1人また1人といつも話す人が減っていく…


いつも話していた4人は全員、霧雨から距離を取り始めているみたいだ。イジメを主導している人は居ないけど、自分たちもイジメられないように距離を取ったとしか考えられないような行動だった…


そんなだからか、最近は霧雨と一緒に登校し一緒に帰る生活になっている…霧雨の表情はからはかけ離れていた。


「ねぇ…私の話一つ聞いてくれる?」


「良いよ?というか最近疲れているように見えるんだけど、大丈夫?俺は君のことが心配だよ…もし、辛いことにあっているなら俺に今直ぐ言ってくれないか?できることだったら俺が全部やってあげるから…」


「ありがとう…もう私には実君しか居ないよ…私の周りにいた子達知ってる?」


「知ってるけど…どうかしたの?もしかしてその子達からなにかされたの?それとも喧嘩でもしちゃったの?」


「喧嘩じゃないの…私、いじめられてるの…助けて…」


「イジメだって!?先生には言ったのか?言ってないなら、今直ぐにでも言いに行こう!!」


「ううん…先生にはもう言ったの…でもまともに取り合ってもらえなくて…『貴方は優等生なんだからいじめを受けるわけ無いでしょう?』って言ってきて…」


「担任の先生であってるよね?もし、その先生だけだったら他の先生にも言ってみよう?この学校でも校長とかに言ってくれる人がいるかも知れないからね…」


「実君…ありがとう!!」


「良いんだよ…俺は君のことを大切にしたいと思っているんだ…これからもずっとね?だから邪魔になるやつは全員排除しようと思っていたんだから、安心して?」


「うん…ごめんね?本当は私が解決しなくちゃいけないんだけど…それに我慢できるものばっかりだったから、今まで言って無くて…」


「彩?今までどんな事をされたのか言ってくれない?もし酷いことをされていたら請求することができるかも知れないんだ…教科書とかノートとか大丈夫だったかな?後は、筆箱の中身とか…」


「筆箱の中身は大丈夫だったんだけど…教科書とノートはやられちゃった…」


「ちなみにその教科書とノートってまだ持ってる?」


「ノートは持ってると思うけど…教科書は水浸しにされて全く使えなくなっちゃったから、捨てちゃった…」


「大丈夫さ!!ノートの現物があれば訴えることも可能だろうし、行けるよ!!それとイジメの主犯とかって目星付いてるかな?」


「多分、先輩だと思う…私がその先輩の好きだった人を奪ったみたいに感じているのかも知れない…」


「女子って怖いんですね…男の恋心に嫉妬するなんて…その人は付き合っていたということなの?それだったら確かに嫉妬するのは分かるんだけど…」


「うん…付き合っていたらしいんだけど、私がこの学校に来てから直ぐに別れちゃったみたい…それで、何かと私のことをいじるようになったんだけど、ずっと我慢してきたの…」


「そういうのは我慢せずに俺や、いつも一緒に居る他の人達に話せばよかったんだよ…話せば心が少しは軽くなるよ?」


「うん…」




彼女は順調に精神が不安定になっているようだな…この調子で行けば嘘告を問い詰める日も近いな…




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