第15話 過去②

俺は自分の病室から出て、あの男を探したが見当たらない…一時間以上も病院内を探したが、結局見つけることは出来なかった。


「クソ…どうしてこんな事になったんだよ…こんな事になるなら、あの時止めていればよかったんだ…」


俺は自分の病室に戻ってきたが、何もする気が起こらない…『事故を起こしたあの男の事を殺したい…俺の父さんと母さんを奪った報いを受けさせてやる』そう心の中で思った…でも、現実的に考えてそれが成立することはないだろう…例え被害者でも加害者を殺して良いことにはならない…


被害者や被害者の家族を失ってどれだけ加害者のことを恨んでいたとしても、殺すことは出来ない…司法で裁いてもらうしか無いのだ


俺は隣で眠る妹を眺めながらベッドで横になった…




こんな生活が2日程続いたある日、俺は病院の中庭に来ていた。病院の中庭には母さんが好きだったチューリップの花が咲いていた。それに父さんが好きだった薔薇も咲き誇っていた…ここに居たら母さんと父さんのことを思い出せる気がして、中庭のベンチに座っていた。


中庭のベンチに座ってから数十分が経っただろうか…俺が座っているベンチの隣に俺と同じくらいの年の男の子が腰掛けてきた…


「隣失礼してもいいかな?」


「どうぞ…」


彼は隣に腰を下ろすと深い溜め息をついて、中庭に咲いている花を見ていた…そして急にこちらを向いたかと思うと、話しかけてきた…


「君はどうしてここの病院に来たんだい?」


「…」


「答えたくないことを、聞いちゃってたらごめんね?ただ一人で抱え込むのは止めたほうが良いと思うよ」


「…君こそどうしてここの病院に来たの?見たところ事故に巻き込まれたとかじゃないだろうけど…」


「妹がね…俺が事故に巻き込まれたんじゃなくて妹が巻き込まれたんだ…君には妹はいるかい?今度中学生に上がる予定だった妹なんだけど、今回の事故でどうなるかわからないんだ…」


「俺にも妹がいるよ。君の妹さんと同じく中学生に上がる予定だったんだけど、今は…意識がまだ戻ってないんだ」


「君は俺とは違って、事故に巻き込まれちゃったんだね…」


「うん…今も少し体が痛いかな…」


「相当な事故だったんだね…もしかしてこの事故かい?」


「…そうだよ」


「そうだったのか…俺みたいな部外者には、本来話したくないようなものだもんね…さっきは聞いてすまなかった。」


「大丈夫…これからは心の整理をして、生活をしていかなくちゃいけないって思ってるから…妹のことも心配だし、そろそろ病室に戻るよ」


「君は強いね…俺は家族を失ったら立ち直る自信はないよ。妹さんのことを大切にしてあげるんだぞ?こんな事を俺が言えるような立場じゃないとは思うけどね…」


「いや、これで決心がついたよ…俺はこれから妹の事を守っていくことにするよ。」


「そうなんだ…それじゃあ決心がついた君にこれを上げるよ。」


「これは?」


「一つは俺の電話番号で、もう一つはミサンガだ…こんなもので良ければもらってくれないか?」


「ありがとう…後で君の電話番号を登録しておくよ。」


彼からもらったミサンガは、今も俺の手首につけてある。彼と会っていた時間は、少し心が軽くなったようだった…




俺は病室に戻った後、自分のメッセージアプリを使って、電話番号で検索をしてみた。検索をしてみると見つかったようだ。


「これは…彼の名前なのかな?」


彼の名前は、八意鏡夜と言うらしい…彼と話していると、暗い話ばかりしていたけど何処か嬉しかった。こんなにも熱心に俺の話を聞いてくれる人がいるんだって思った…




次に彼と会えるのはいつなんだろうな…









今日も見てくれてありがとうございます!!


皆さんからのコメント随時お待ちしております!!なるべくコメントを返そうと思っていますので、感想なんかを書いていただけると幸いです!!


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細かい情報は将来的には開放する予定なので安心してください!!


それでは深夜にお待ちしております!!ぜひ来てください!!



もう少し、回想シーンのような物が続くかもしれませんがご容赦ください…

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