第14話 過去①

俺や妹を含めた家族が、あの事件によって失った物は大きかった。俺と妹は父さんと母さんを失った…しかし、あの飲酒運転をしていた男とは、未だにほとんど合うことが出来ずに居る。俺の記憶にあるのは、ガラスに体を貫かれて血まみれになっている父さんと、俺と妹をガラスから守るかのように覆いかぶさってくれていた母さんの姿だ。


母さんは俺と妹を守るために、後部座席に居た俺らの所まで這ってきてくれたのかも知れない…母さんは俺に向かって最後のメッセージを残してくれた。


父さんと同じように体をガラスや車のパーツのようなものに貫かれながらも俺と妹に辛い所を見せないようにしていたのか、笑って最後まで話してくれた…


「実…賢い貴方なら今の状況をしっかり理解しているわよね?」


「母さん…もう喋らなくて良いから、傷の処置をしよう!!救急隊がくるまでの時間を稼げば父さんも母さんも助かるはずだ!!早くこのハンカチを使って良いから止血をしてくれ!!お願いだよ母さん!!」


「貴方がいつも勉強を頑張っていることも知っているわ。でも、無理をしないでほしいの。人なりに過ごして結婚して子供が出来たら、その子供を幸せにして頂戴。」


「母さん!!喋らなくていいって言ってるだろ!!早くこれを使って止血をしてくれよ!!お願いだから死なないでくれよ!!」


「貴方ならこの状況が理解できてるわよね?私やお父さんが助からないことを…」


「嫌だよそんなこと理解したくない!!俺の受験が終わったから、その記念でドライブをしに来たんだろ?こんな事になるならドライブなんてしなければよかったんだ!!こんな事で父さんと母さんを失いたくないよ!!」


「実…しっかりしなさい!!貴方がこれからは燐火のことも面倒を見るのよ!!」


「俺に面倒が見れるとでも思ってるの?取り柄なんて何もないんだよ!!母さんや父さんはいつも俺の事をだって言ってくれたけど、俺はそんな出来た人間じゃないよ!!誰かを頼らないと生きていけないような、弱い人間なんだよ!!だから死なないでくれよ母さん!!」


「貴方には、人を思いやれる心があるわ…」


「母さん?母さん!!しっかりして!!目を閉じちゃダメだよ!!まだ俺や燐火には父さんも母さんも必要なんだよ!!俺等だけじゃ、これからの生活をどうすれば良いんだよ!!」


「私達以外にも親戚の人達は居るでしょう?あの人達を頼りなさい…きっと力になって…くれるはずよ」


「嘘だ!!だって、親戚の人達が俺等兄妹に向けてる視線はいつも冷たいものばかりだったんだよ?父さんと母さんに向けている視線も同じだよ!!母さんが気づか無いはずがないよね?」


「母さんはね…お父さんと昔から知り合いだったのよ。でも、お父さんの方は少しえらい家系だったみたいでね…彼と私が付き合うのを認めてくれなかったの…」


「わかったから!!なぁ母さん…もう話さなくて良いから、止血をしよう?そうすれば母さんは助かるよ!!父さんはこれだけ血が出てしまっているから、こんな事は言いたくないけど亡くなってしまったかもしれない…でも、さっき後方の車の人が通報しているのが見えたんだ!!もう少しすれば、きっと救急の人達が助けてくれるはずだよ!!」


「いいえ…私の事を止血をしたとしても、間に合わないわ…実には見えないかも知れないけど、足の方も多分大変なことになってる…こうやってここまでこれたのも奇跡だと思ってるわ。だから、最期に貴方達には伝えておきたかったのよ…」


「母さん!!」


「今まで私と彼を支えてくれてありがとう。これからは燐火のことを守ってあげてね?母さんと父さんは離れた場所から見守ってるから…貴方達のこれからの成長をずっと願ってるわ」


「どうしてなんだよ…なんでこんな事になっちゃったんだよ!!数十分前までは楽しく会話していたはずだろ?どうしてこんな事になっちゃったんだよ!!クソッッッ!!」


ここで俺の記憶は途絶えている。後で警察の方に言われたが、父さんは後方のガラスが割れないように、ぶつかられた時に調整していたらしい…そして父さんは割れたガラスで大量出血ということらしい…


母さんの方も、同じくガラスの破片で何箇所も怪我を負って亡くなってしまった…足の方も折れてしまっていたらしい…





病院で目が冷めた俺は、涙が止まらなかった…母さんや父さんの顔を思い出すと涙が溢れてきて止まらなかったのだ…ひとしきり泣いた後、妹が隣のベッドで寝ていることを確認して、俺は真っ先にあの男を探した。両親を奪ったあの男を…










今日も見てくれてありがとうございます!!


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細かい情報は将来的には開放する予定なので安心してください!!


それでは深夜にお待ちしております!!ぜひ来てください!!



ちょっと回想シーンのような物が続くかも知れませんがご容赦ください…

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