鳥居を潜ったのは、先程までの着物がブカブカな可愛らし女童ではなかった。

 背丈は娘自身の母親程の背になり、が纏っていた着物が似合う数え年16とも思える立派な美人の娘が潜ったそうだ。



 それがあの女童であることを知るのは、あの鬼の面の男と母親のみである。




 村の人々によると、その娘-女童は、二度と村には帰らなかったそうだ。

 しかし、村は今までの飢饉を抜け出し、今では大きく豊かな村となったと言い伝えられている。


 それは、あの鳥居の先にある常世とこよであの娘が流した涙が村に繁栄をもたらした、とも伝えら言われているが、その真実は誰ひとりとして、このうつし世に知るものはいない。




 あの鳥居はというと………

 21世紀の今でも、場所は謎のままであり、鬼の面の男についても未だ掴めないままである。

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