エピローグ

「誰も殺せなかっただと?」


 闇一色に染まった洞窟で、異形の影が声を落とす。

 氷の棺に閉じ込められたような、身も凍るほどの冷たさを帯びた声だった。


「はい、左様でございます……」


 ゴルドーの声は震えていた。

 ゴツゴツとした地面に膝をつき影の前に平伏す姿は、彼が底知れぬ恐怖に打ち震えていることを如実に表していた。


「キング・サイクロプスと魔石を失ったにも関わらず、何の成果も出さぬまま、おめおめと逃げ帰って来たと?」


 怒りと、失望が混ざり合った声。


「た、大変申し訳ございません! ですが……!!」


 縋るように叫ぶゴルドーの形相は必死だった。


「あのユフィという女がどう考えても異常……」


 彼の言葉が終わる前に、影から無慈悲な閃光が放たれる。

 それから、ゴルドーの首元を一閃。


「ぁっ……へっ……?」


 急な出来事にゴルドーの意識が追いつけない。

 否、永遠に追いつくことはなかった。


 切り落とされたゴルドーの首が宙を舞い、洞窟の冷たい地面に血を撒き散らしながら転がる。


「次は首ごと焼き落とすと、言ったはずだ」


 首を失ったゴルドーの胴体が、無慈悲な現実を受け入れられず、静かに洞窟の地に倒れ込む。


「……ユフィ・アビシャス……」


 深い怒りに満ちた声が、一人の少女の名を呟きながら闇に消えていく。

 後には、物言わぬゴルドーの亡骸だけが残された──。






---あとがき---


ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


これにて二章完結です。

ユフィちゃんの物語はまだ続きますが、一旦ここで区切らせていただきます。


初めて執筆したハイファンタジーで筆に迷いがある箇所もありましたが、少しでも楽しんでいただけましたら幸いでございます。


また申し訳ございませんが、ストックを切らしてしまったのと、別作品の更新や書籍の締め切り等があるため、ブクマはそのままで三章開始を少々お待ちくださいませ。


ここまでで「面白かった」「続きが楽しみ」「三章も期待!」と少しでも思っていただけましたら、ブックマークや星などで評価頂けると壁に頭を打ちつけながら喜びます。


それでは、晩御飯のゴボウが待っているのでこれにて失礼!

ありがとうございました。

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