魔物合成術師さんと二度目ましての城【2】
『王様、勇者を連れて参りました』
「ああ、ご苦労。そして、良く来た勇者よ」
『「この度は城への招待感謝します」』
「ハッハッハッ!上等上等。悪いな、やっぱり王っぽくするのも大変だな。勇者もそんな身構え無くて良いぞ。堅苦しいのは苦手でな」
チラッと賢者を見る。凄い勢いで頷いている。
『「それは助かった。あんまりこの様な場所には慣れてなくて、礼儀が悪くて斬首が勇者の最後だったらマズいからな」』
「ハッハッハッ!言うなぁ勇者。安心しろ、そんな簡単に救世主を殺しはしない。なぁダイジン」
「ええ王様、彼らにはこれから頑張って貰わなくてはならないのだから。殺すなんてそんな物騒な。それより、王様。彼らも忙しい身でしょう、早めに本題に入った方が良いかと」
「あぁ、確かにそうだな。流石ダイジン、賢い!今回呼んだのは、手助けが出来ないかと思ってな。助けて貰ってばかりじゃ罪悪感が湧くし」
「寛大な心、流石です王様」
「まあね、よく言われる。で今困った事とか何か無い?ある程度の事なら何とか出来るかもしれないけど」
「王様、実は悩み事が一つありまして……」
「あっ賢者よ。どうし……賢者か?お前」
「王国随一の知性を携えた賢者ですが……何か?」
「いや、そっか。そうだよな……頭良いもんな、そんな奴が狐耳なんて付けないもんな」
「そうですね、まあそれは置いといてください。そして二度と話題に出さないでください。実は、悩み事があるんですよ」
「それってもしかして個人的な奴じゃないよね」
「お悩み相談や懺悔をして良いのならしますけど」
「で?何?」
王様が椅子に座り直り、真剣な顔をして聞く。
「近くに回復魔法のスペシャリスト的な人はいませんかね、怪我やそれ以上の人が多くて。ボクは回復専門じゃないので限界があるんですよ」
「成程な〜。それなら確か……ダイジン!」
「はい、確かミナミの街に聖獣を連れた聖女がいると聞いたことがあります。美しい歌声で、聞くものを驚かせると評判です。聖女の歌声は回復効果もあり、その聞きごこちの良さは死人も蘇る程と聞きます」
「だそうだ。行ってみたらどうだろ」
「そうします、ありがとうございました」
『「アッス!!!」』
「何だお前!国王様の前だぞ!」
ダイジンが怒るが、そんな事を気にしている場合じゃない。無視して、話を終わらすことに全集中した。
「では、これで!」
こうして、ボク達は急いで城を後にした。そして次に目指すのはミナミの街。そう思っていたのですが……。
「おう、いらっしゃいって嬢ちゃん?で良いんだよな」
「まあそうですね」
バイトさんに此処に行けって言われたんですけど。此処は?
『「家庭的でコワモテな眩しいおじさんがやってるスイーツ店です」』
「違うっ!何でも屋だ。クソッ、お前はお前でどうしたんだよそれ。闇堕ちでもしたのか?」
「あのすいません、茶番は結構なので仕事してください」
「嬢ちゃんも容赦ねえなぁ!!」
本当の事だからしょうがないです、さあ買い物をしますか。
よわよわ魔物合成術師さん、ダンジョン配信中に魔王を合成してしまう カケラ @kakera171
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