談笑
身ノ程知ラズ
談笑
「この部屋は随分と熱いですねぇ」
「え、あぁまぁそうですね」
急に話しかけられて驚いたが声を聞く限り悪い人ではなさそうだ
おそらく隣の部屋の人だろう、それから話は続いた
「それにしても今日はどうしてこちらに?」
「さぁ、確かベッドの上で寝ていたはずなんですが、気づいたらここに…」
「そうですか、奇遇ですね。私も同じような状況ですよ」
「そうなんですね、ちなみにここがどこかって分かります?」
「いやぁ〜分かりかねますね」
「こっちはほんと何も見えない真っ暗闇なんですがどうですか?」
「あぁ!私もですよ!」
「じゃあ多分何かしらの共通点があるでしょうね」
「そうでしょうね、なんかあります?思い当たる節は」
「え〜なんですかね、そういえば今日僕の誕生日だった気がします」
「あ、それはおめでとうございます。ただ残念ですね
私はもっと先なんですよ」
「じゃあなんですかね、年齢を伺ってもよろしいですか?」
「今は83歳ですね」
「結構ご高齢の方なんですね、私は78歳ですよ」
「いや5年なんて大した差じゃないでしょう」
「それもそうですね、いやぁ本当にどこなんだここは…」
「ん?外から何か声がしませんか?」
「あ、確かにちょっと聞いてみますか」
(……やく………して………)
「なんでしょうかね、まぁ大したことじゃないでしょう」
「そうですね、談笑続けますか」
ここは火葬場、死者が一堂に会する場である
稀に成仏されずに会話をする者もいるのかもしれない
談笑 身ノ程知ラズ @mizoken
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