第1696話 弱肉強食信者
やはり海にいただけあって魚を捌くのも上手く、料理のレパートリーも豊富だった。
「さすがじゃん。ここで待たせているのは惜しいな。タケルの修行が終わるまで町で店でもやったらイイんじゃね?」
「ぼくらは
きっぱりと言う……なんだっけ?
「サダンさんですよ」
あーそうそう。サダンサダン。イイ名前だ。
「そうか。なら、これ以上は言わねーよ。タケルが帰って来たらお帰りと言ってやれ」
タケルにしたらこいつらは家族であり、帰って来る場所だ。オレが口を出すのはご法度だったな。
その話は止め、料理を食うのに集中。腹一杯食ったら早々に風呂に入って眠りについた。
次の日は晴天で洗濯日和だ。オレたちはダンジョンに入るんだけど。
装備の点検をしたらダンジョンの入口に向かった。
ダンジョンの入口は、小屋から百メートルのところにあり、土魔法で門に創り返られていた。
「長いこと使われていた感じだな」
門の前にはいくつかの焚き火の跡があり、朽ちた樽やら小屋やらがあった。
「二人とも。記録したいなら写真に撮っておけよ」
報告するかどうかは二人にお任せ。オレは記憶に収めたいと思います。
「マイルカの町が滅んでそんなに経ってねーのに、五年以上は誰も来てねー感じだな。ダンジョンが枯渇したか?」
ゲームのように宝箱が湧き出ることもねーし、貴重なものがなくなればそれで終わり。人も寄りつかなるだろうよ。
「魔物は結構入り込んでいるみたいよ。前にオーガがいたってさ」
「オーガか。あいつらもどこにでもいるよな」
「それを片っ端から根絶やしにしているのがベー様ですけどね」
「否定はしねー。襲って来るヤツにオレは容赦しねーからな」
こちらが小さいからとナメてかかるヤツはその命で償わせてやる。こちとら弱肉強食信者なんでな。
「じゃあ、入るか。覚悟は決めたか?」
「決まってないです!」
「ふんふん!」
「その意気やよし! じゃあ、さっさと入れ! 小娘どもが!」
逃げようとする二人の首根っこをつかんでダンジョンに引きずり込んでやった。
「暗いな」
当たり前と言えば当たり前なのだが、生きているダンジョンがほとんどだったから暗いダンジョンはちょっとわくわくすんな。
光の結界を創り出して周囲を照らすことにした。
まだダンジョン(フューワル・レワロ)には到達してないようで、土魔法で通路が創られている。昔は活気だったんだな。
「ただ、創りが雑だな。どこの三流が創ったんだか」
見て見ぬ振りができねーので通路を創り変えるとする。
「なにしに来たんですか?」
「通路の創り変えだ」
人生、目標が変わることなんてよくあること。あらよっと!
村人転生~最強のスローライフ ニューだぜ! タカハシあん @antakahasi
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