第15話 君が僕に勝てるわけないやろ
「君が僕に勝てるわけないやろ、」
倉橋は氷漬けになったアルベドに座って話す。
「まぁ、少しは強くなったんちゃうか?
というか、殴り合い何て久しぶりにしたわ」
ポンポンと氷漬けのアルベドを叩き、携帯を開く。
「今、十二神将倒したから。
あぁ、処理頼むわ。
好きに使いや」
「わかりました、第三席」
倉橋は携帯を閉じる。
「さて、あの子は大丈夫かな」
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「齋藤、」
「ん?
あ、神宮寺くん!」
斎藤は俺の呼びかけに答える。
「結界には出れないか?」
「そうだね、、」
どうやらこの結界は男しか外に出ることが出来ない条件を設けてる。
つまり標的の女性を逃がさないための結界。
ということは…
「倉橋先生は知らないか?」
「倉橋先生?
見かけてないよ!」
「そうか、」
結界の外、つまり森の外には多くの男子学生が伺える。
「神宮寺くんも避難した方が良いと思う」
「いや、そういうわけにも行かないんだ。
加波が狙われていてな」
「静さんが!?」
「あぁ、大友と一緒にいると思うが、外に出れないとなると事は重大だ」
「私も探しに行くよ!」
「いや、安全な場所にいた方が良いと思うが」
「でもやっぱり心配だし、、
友達だから…それに安全な場所なんてどこにもないと思う、」
確かにそうだ。
そしてこれ以上何を言っても意味がないだろう。
これだけでも斎藤美波という人物が好かれる理由が良くわかる。
「言っておくが、守れないぞ?」
「大丈夫、自分の身は自分で守れる!」
斎藤は力こぶを見せつけるが、ただただ綺麗な白い柔肌に小さな山が出来るくらいだ。
そして俺たち二人は加波と大友を探すために行動を共にすることになった。
誰かが倒された。
何か大きな、強い誰かが倒された。
莫大な魔力のぶつかりはものの二、三分で蹴りが付いたといったところか。
十中八九、教師陣と侵入者の戦いに蹴りが付いたのだろう。
俺はスキル「詮索」のような正確な情報を探ることは出来ないが、それに近い情報を知ることは出来る。
しかし加波たちを正確に探すには結界が邪魔だ。
「随分厄介な奴が居るな、」
「何か言いました?」
「いや、それより体力は大丈夫か?」
「大丈夫です!」
かれこれ十数分程走ってるが、意外にも斎藤は体力があるようだ。
「スピード上げるぞ?」
「わかりました!」
俺は走るスピードを上げると共に、一つの能力を解放する。
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天空の城とも呼ばれる聖地「アルカディア」
世界政府が拠点であるアルカディアでは近年稀に見る騒ぎが起こっていた。
「連絡します!
十二神将「第八席」アルベド様の生死が不明になりました」
「なんだと!?」
世界政府諜報員たちは騒がずにはいられなかった。
それもそうだろう。
世界の均衡を保つ世界政府の最強十二人衆の一人が、あの十二神将が生死不明となれば、均衡の崩壊が頭をよぎる。
「随時、随時報告をしろ。
そんなバカげたこと、起きるはずがない…」
十二神将に一つの席が空くというのは珍しくもない。
しかしそれは”円卓の教団”や魔王などの強敵が絡む場合を想定してのこと。
相手は学生もしくわ学校関係者。
予想外の出来事に世界政府はパニック状態であった。
「ありえるでしょ?」
しかし一人、平然としている男がいた。
白いローブを身に纏う金髪の男。
その姿を目視した諜報員の女は目をハートにする。
「黙れ四席」
「酷いなぁ、俺も十二神将なのに~
なんでそんなに他のと態度が違うのさ?」
「馬鹿が、禁忌使いなんぞに敬意など見せるか」
「へいへい、
でも、アルベドは十中八九誰かに負けたんじゃないか?
あいつ弱いし」
そう言って金髪の男は笑い飛ばす。
しかし、誰もそれに反論できない。
それはアルベドが弱いことを周知しているのではなく、
この男、十二神将「第五席」ケイニーが異常なほど強いのを知っているからである。
十二神将は十二人で構成されている。
しかし誰もが優秀優等生でその座を獲得したのではない。
アルベドの様に魔法高等学校からコツコツと真面目に頑張ってきた者も居れば、
禁断の魔術を扱う者まで。
十二神将は最強の構成である。
最強の寄せ集めであるが故に、自由奔放な者が多く、扱いに困る節がある。
しかしその名に恥じない最強ぶりは世界に影響を与え、均衡を保つ。
例え犯罪者だとしても、最強であれば一定の条件下で十二神将になることが出来る。
「大賢者の孫に”倉橋”も居るんでしょ?
ぜってえアルベドじゃ勝てねえって」
更に大きくケイニーは笑う。
しかし、ふと頭の隅で記憶が呼び起こる。
「あぁ、そう言えばもう一人いるな。
”勇者ロト”が言っていた男…誰だっけなぁ。
確か、”英雄ハイマー”の孫とか言ってたか…」
平凡と思われていた主人公、実力を隠し学園を無双 パンパース @kiriyasi
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