第6話 エピローグ

「ジン!親父殿からの届け物だよー」

今日はユウタが籠いっぱいの桃をもってやってきた。

縁側で猫のカイを撫でながら京子が座っている。

「まぁまぁ、ユウタさん。ありがとうございます。どうぞおあがりくださいな。」

奥から神宮司が顔を出して、「いらっしゃい」と声をかけた。

「お茶を入れてきましょうね。」京子は、席を立った。


お茶を4人分持って京子が戻ってきた。

その後ろには狗神のショウも一緒だった。

「ユウタさん、そういえばその後の西行様はどうされてるんでしょうねぇ。」

京子が勇太に聞いた。

「あれから、噂の話は聞かなくなりました。西行さんとサクラさんも仲良く西行庵で暮らしているみたいですよ。


そうそう、うちの烏天狗が言ってたんだけど、月明かりの美しい日に行くと、西行庵がぼんやりと光って見えるんだって。不思議だなぁ、と思って近づくと、すごく優しい歌の調べが聞こえてくるらしい。

それを聞くと、とっても暖かな気持ちになれたって言ってたよ。

でも、あんまりその話は広めるなって口止めしといた。だって、せっかくの二人の時間、邪魔するの悪いじゃん。」


「それはよかったな。」とショウが言うと、

「今度、月明かりのきれいな日にみんなで二人に会いに行こうよ。」と神宮司も嬉しそうに言った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

歌詠みの怪ー裏吉野奇譚 KPenguin5 (筆吟🐧) @Aipenguin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ