52 あとがき

 本作品を最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。以下、ネタバレを含みますので、あとがきから読まれるという方、ご承知おき下さい。

 今回は、「魔性の女が育つまで」をテーマとして書きました。私は以前、「完成された魔性の女」を書いたことがあります。


遠浅に溺れて

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882695274


 ならば今度は、うぶだった女の子が魔性を宿すまでのストーリーを書いてみよう。そういったところから始まりました。蘭ちゃんは、あの日ショットバーに行かなければ、このような人生を辿ることは無かったでしょう。魔性への道は、ほんの一歩だけ踏み外したところにある。そこから、彼女自身だけでなく周囲の男たちも狂わされていく。そんな倒錯したストーリーを、関西弁でやってみようと思ったのは、ほんの思い付きでした。上手く料理できたでしょうか。どういう味わいだったか、コメントやレビューを下さると嬉しいです。

 震災のモニュメントを蘭ちゃんと健介くんが巡るシーンは、物語のテンポを削いでしまうものにはなりましたが、神戸を舞台にする以上、外せないと思って入れました。私は当時小学生。記憶があります。震災後に産まれた彼らの心情は、想像でしかありませんが、我が子と思って書きました。

 ちなみに、達己くんと修斗くんは、こちらの別の小説のキャラクターです。ここはネット小説という自由な場です。自身の作品をクロスオーバーさせるという試みをしました。


Raining~吸血鬼の集うショットバー~

https://kakuyomu.jp/works/16817330649352335828


 達己くんは、この作品で精神的に成熟した男性です。なので、蘭ちゃんに振り回されることはありませんでした。未読の方はぜひどうぞ。カクヨムコン8の中間選考を通過した作品です。

 白夜くんはもっと色んな設定を組み込んでいたキャラクターなのですが、蘭ちゃんの一人称で進む都合上、謎が多いままになってしまいました。彼が東京に行ってからの作品を書いてみても面白いかもしれませんね。書いていて楽しいキャラクターでした。

 健介くんと翔くんは、最後まで蘭ちゃんにすがることとなりました。初めは、健介くんとくっつける恋愛ストーリーの構想もあったんですけどね。蘭ちゃんの魔性っぷりがとどまるところを知らなかったので、現代ドラマにプロットを変更しました。これからも、彼らは彼女に惑わされるのでしょう。彼女がこの先、どういった人生を歩むのか。数多の男たちを相手にし続けるのか。それともあっさりと結婚し、子供をもうけ、彼女が否定していた「普通の幸せ」を掴むのか。それは読者の皆さま方の想像にお任せします。

 そして、勝手にモデルにした某ショットバーの某マスター、ありがとうございました。私が小説を書いているということは、恥ずかしくて告げていませんから、この文章をお読みになることはないでしょうね。いつも私の相手をして下さって、美味しいお酒を作って下さって、ありがとうございます。実際は三宮には無い店です。少し外れた他の駅にあります。どうしても気になるという方は、私のツイッターからこっそりDMを下さい。お教えします。もし可能ならば、一緒に飲みに行きましょう。

 我が夫にも、ありがとうの言葉を送ります。神戸を舞台としたこの小説には、思うところもあるでしょう。あなたもよく知っている様々なスポットが出てきましたね。神仙寺さんのモデルも、あの人だとわかるはずです。いつも飲みに行かせてくれて、小説を書かせてくれて、ありがとう。これからも、よろしくお願いします。

 そして、何より読者の皆さまに感謝を。決して軽く読める作品ではなかったはずです。ネットの長編小説を最後まで読んで頂けるのは、小説家として最大の喜びです。蘭ちゃんたちの物語を見届けていただき、ありがとうございました。

 終始、キャラクターたちが酒を飲み、タバコを吸い、セックスをする作品でした。私はタバコを吸い、麦茶とコーヒーを飲み、ナイン・インチ・ネイルズを聴きながら、パソコンに向かっていました。蘭ちゃんを描くこと、関西弁を紡ぐことは、とても楽しい執筆経験の一つとなりました。

 しかし、まだまだ書きたい欲求は止まりません。私はこれからも小説家を続けるでしょう。もしよければ、私の過去作品もご覧になって下さい。今回のようなドライな関係から、純愛、BL、GL、大体何でもやっています。まだ挑戦していないのはホラーとミステリーですかね。私は結局、「人と人との交わり」が好きな人間ですので、どうしてもそういったテーマが多いのです。

 今作品は、「大学生三部作」の一発目です。他の作品も、順次投稿しますので、よければご覧になって下さい。タグをつけています。 

 もしよろしければ、次回の作品でお会いしましょう。またね!

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