第5話 本当の真実 魔女side

黒い光が消えるとともに、そこに現れたのはエリザベス様に似た優しい女性だった。

「こんなにも穏やかな気持ち初めて」

光り輝きながら、ノルターク家の長女は笑っていた。

「魔女!!お姉さまはどうなるの!!」

焦ってるように怯えてるような声だった。

「世界の闇をその身に宿していました。ですが、役目は終わり、転生しようとしてるのです。来世では幸せになれますよ」

「それって」

「貴方様の姉君は、今から光の粒となり消えていきます。簡単に言うと死にます」

私が言い終わった瞬間。

エリザベス様は姉君に抱き着いていた。

「エリー?」

驚いたように嬉しそうに微笑む。

さっきまで、愛に狂った女性には見えなかった。

「いや。お姉さま、行かないで。もっと、本を読んでください。もっと、私の髪を結ってください。もっと。もっとそばにいて」

あれほど、冷遇されていたのに。

どうして、そんなことが言えるのだろう。

こんなにも、悲しそうなのは。

怯えているのは。

「魔女!!どうにかならないの!?お姉さまを助けたい!!もっと一緒にいたいの!!」

必死な叫び。

私は頭の中にある知識を思い出す。

「名前を与えてください。名前はこの世に縛るもの。名前をつけたものが、つまり名付け親が名前を消したときに縛られず来世に行けます」

「じゃぁ、」

「ですが。魔力を持つものでしか縛ることはできません」

そんなといいながらエリザベス様は座り込んだ。

そんなことを言ってるうちに姉君はどんどん薄くなる。

私は軽くため息をついた。

私が名前を呼べば姉君は光り輝き、エリザベス様に似た女性の姿になった。

「魔女、これはいったい……」

ノルターク家のみなさん、そんな顔して。

貴族として失格なのでは?

「エリーゼ、エリザベス様を守るのですよ。私が呼んだときは来るように。何かあったら頼りなさい」

私はそこまでいうとエリザベス様に頭を下げる。

「私の使い魔エリーゼをよろしくお願いします。今回の代償おだいはあなた方のをもらいます。それでは、ごきげんよう。またのお越しをお待ちしております」

私は言い終わると同時に自分の屋敷に戻った。

「今回は、祝福ね。呪いの場合はどうなってたのかしら」

私は窓から差し込む月明かりに微笑む。

「今宵は使い魔ができたわね」

瓶の中に入ってる薬を飲み、私はシャワーを浴びて横になった。

次はだれがくるかしら。

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祝福と呪いの隣り合わせ魔女は桜色 陽控優亜 @youkouyua

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