第4話 悪夢から

屋敷に入ると私は応接間に入った。

「なんだ、帰って来たのか」

お父様は温度のない冷めた目。

「まぁ、死ななければいけないのであやふやにならないで済むわね」

お母さまは、私を見ることなく言う。

「わ、私。最後に紅茶をふるまいたいの。最後の願いとして飲んでくださりますよね?」

震える声。

どうしてこんな情けない声しか出ないの。

どうして私を見てくださらないの。

ここにいるのに。

この17年間、過ごしたのに。愛は芽生えなかったのですか、お母さま。

私になぜ公務を任せたのですか、お父様。

小さい頃は優しかったお兄様もお姉さまも。

今は見る影もないほど私に笑顔を向けてくださらない。

あんなに一緒に遊んでたルシー。

私に花冠をくれたアクア。

2人は私の宝物だったのに。

今は、私のことを姉だとも思ってないって本当なの?

私は家族全員に紅茶を渡す。

みんな、飲み終わると一斉に苦しみだす。

「お母さま!!お父様。お兄様、お姉さま!!ルシー、アクア!!」

私は叫ぶように言う。

「私のことを何故愛してくださらないの!!私はずっと家族だと思ってたのに!!こんなにも愛してるのに!!」

私は涙を流しながら。

「あぁ、私の愛しい娘よ」

お父様は突然立ち上がり私を抱きしめた。

どういう状況なのかわからない。

「お前に似合う名前はこの世にない。どんな名前もお前に見劣りしてしまう」

「そうね、どんなに考えても思い浮かばなかったものね。の名前は」

お母さま?今、なんて……。

「僕の愛しくて世界一可愛い妹なんですよ。誰よりも世界一美しい名前です。あぁ、愚かな兄を許してくれるかい」

お兄様、その言葉は。

「ルシー、エリーお姉さまの妹で幸せ!!」

ルシーが私に抱き着く。昔のように。

「ルシー、ずるいぞ!!姉上、また花をプレゼントしてもいいですか?」

アクア、覚えてたの??

「どうして、よ」

お姉さま?

「どうして、私が受けてた愛情を奪うの!!」

紅茶を投げ捨てお姉さまは言った。

「せっかく手に入れたのに。魔女まで頼って。この美しい容姿も才能も。あんたが持ってた全てを奪えたはずなのに!!」

何を言ってるのお姉さま。

「ふふ」

後ろから笑い声が聞こえ振り返れば、深い黒のローブ。

この姿は。

「森の魔女」

私は思わず言った。

「貴方様の記憶を届けにまいりました」

彼女は言うと、私の手を握る。

そこには、疎まれ、いじめられた醜い女がいた。

なんの才能もない、生まれた時からの罪人

お母さまに疎まれ、お兄様には冷たい瞳で見られた。

お父様は、メイドのような仕事を押し付け、ルシーは近づくのでさえ嫌がる。アクアは、虫を投げて遊んでいる。

私は。

「本来のけがれはエリザベス様の姉君。名前もない女性。エリザベス様の次期王妃候補を奪い、も奪った。使用人の皆様の記憶を改善してまで」

森の魔女はたんたんという。

「いつかは、奪ったものを返さないといけないんですよ」

森の魔女はお姉さまに向かって手のひらを差し出す。

「あなたは、魅了の呪いを家族にかけた。そして、その代償に心優しく育ったエリザベス様を差し出した。エリザベス様とこの国に災いを呼ぶあなたの立場を逆転しましたね。そのおかげで、私にまで被害がでてるのです。もう、甘い夢は終わりでいいですよね?」

森の魔女はつむじ風をおこす。

「何よ。何するのよ!!」

「お姉さま!!」

お姉さまから黒い光が出てくる

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