Ch.2 §7 あらすじ/用語:暗い森

更新 2023-10-25


§ Ch.2 数樹と歩と家族と仲間たち

§ §7 暗い森 目次 短めのあらすじ/長めのあらすじ/用語


# あらすじ

## 短めのあらすじ(約200字)


鮎田歩の元同僚/ストーカーが数樹の不妊障害を赤い文字で書かれたビラで暴露したあと、連行される。秘かな悩みを暴露された数樹は絶望。悩み不眠気味で体調を崩し仕事を休み、歩には鮎田は急病で隔離と伝える。ドナートが駆けつけ気遣い叱咤。回復した鮎田は歩に隠したことを詫び、一番大切なことは歩との幸せと主に言われ再確認する。5年後、歩は麻衣美に事件のことを打ち明け、隠し持っていたビラを汚物のように扱いながら燃やす。


### 第29話 2083年の事件 可能であるという前提


「連邦病院所属職員による許可のない他部署への侵入事件」において、鮎田歩の元同僚でストーカーの山本巨陽なおひろは鮎田数樹に歩との離婚を要求、数樹の精子形成障害を赤い文字で書かれたビラで暴露したあと、連行される。誰にも言えなかった悩みを暴露された数樹が上司に早退を願い出て廊下のベンチに座り込んでいると、髪を黒く染めたドナートがコーヒーを持って現れる。


### 第30話 寝かしつけにかけては剛の者


ドナートは侵入犯の身元を説明し、数樹が保存していた記録から病院で数樹に対応した事務だったことが判明。ドナートは子どもの世話に慣れた父親らしい手際の良さで数樹の面倒を見る。歩には数樹は急病で隔離と伝え、翌日歩は同僚(ファン班長と研究所のリーの女性同士結婚)の家に泊まりに行く。夕方、白い部屋の主が手際よく鍋料理を用意し、歩とファン班長の家で食事するため立ち去る。数樹は鍋料理を主と同行してきたドナートと共に食べる。


### 第31話 博識、無知、逃避。雑炊。


鮎田数樹は勇者魔法の研究に熱心で、習得した勇者魔法の中には排卵を確認する魔法があった。就職してしばらく、多忙だったため、薬で避妊していた歩は、仕事が落ち着いたときに避妊を止めた。魔法で排卵を確認していた鮎田は、予想した通りに妊娠の徴がないことに悩んだ末検査を受ける。精子形成障害を解決する勇者魔法はなく、不妊治療も超現象普及前と同じ状況で、女性に負担がかかることが避けられない。回想中の数樹はふと桑田のことを思い出すが、重い話になることを予想してドナートに聞くことを止める。


### 第32話 わからん……しかし。


鮎田数樹はドナートに説教され、歩の仕事の邪魔になりたくない気持ちを理解され、また悩みがあったら相談するように言われ、ドナートの昔の失敗談を聞く。また、山本が超現巫亜種異端リアルキミアパンクの関係者のため、今後鮎田夫妻を警備する常世霞が増えることを告げられる。


### 第33話 数樹と家族たち


事件数日後、鮎田夫妻と白い部屋の主は夕ごはんに餃子を作って食べた。そのあと、歩は数樹のつらさを気遣い、数樹は自分がわきまえてしまって秘密を作ったことを詫びる。主は鮎田の股間を見て、「精子がわずかながらある」といつもの空気を読まない調子で言う。


### 第34話 星空のように


主は数樹が望んだことは歩の幸せだったはずだと諭す。また、もし望むなら数樹と歩とよく似た子どもの幻影を作ることが出来ると示す。歩は主に抱きついてから、幻影を否定する。歩はもし数樹が望むなら不妊治療のために休職すると申し出、数樹は回答を保留する。数ヶ月後、鮎田の上司のファン班長は山本が烏池の親族が経営していた医療法人INCOに就職したこと、INCOの調査と今後の勇者一行としての仕事を鮎田にしてほしいと告げる。


### 第35話 2086年 麻衣美、冷蔵庫を修理


5年後、家電修理の請負仕事を始めたばかりの畑崎麻衣美が歩が書斎に置いている結婚前から使っている冷蔵庫を修理する。麻衣美の長男の光はそれを楽しそうに見守り、記録を取る。10年以上前の冷蔵庫の部品は連邦の法律でメーカーから仕様をダウンロードして3Dプリンタで部品を作ることが出来るようになっている。


### 第36話 次の世代


外出していた数樹、畑崎智司、朱莉が帰ってきて親子はじゃれ合う。おやつを一緒に食べた後、麻衣美と歩はふたりで話す。歩は麻衣美の就職を祝う。2077年心身不調だったときを麻衣美は振り返り、連邦の制度などに感謝する。


### 第37話 文字は燃える


歩は麻衣美に2083年の事件について語り、こっそり保管していた赤い文字のビラを見せる。歩は山本に煩わされてから髪をオレンジ色に再び染めるようになっていた。凶悪な笑みを浮かべたふたりは汚物を処理するようにそのビラを燃やす。手を洗ったふたりはジュースが冷えるようになった冷蔵庫からグアバジュースを出し、楽しそうな居間の夫と子どもたちの声を聞きながら微笑む。


# 用語


## 連合


- 各世界と亜空間の部屋(「白い部屋」がある「場所」)を統括する組織。連合の存在は各世界でも一部の者しか把握していない最高機密。


- ドナートとグイダックをはじめとする技術研究隊の隊員たちはウルデンゴーリン王国で連合のことを知っている数少ない者たちの1人


- 「主」と「上席」は連合の役職名。

- 白い部屋の主は生成り色の布袋。念話が出来る。

- 主の配下に「常世霞」という亜空間の生命体がいる。勇者の目で見ないと見えない。

- 連合の記法(連合速記)とその保存については、第25話で説明。



## 亜空間


- 鮎田たちの師、白い部屋の主がいる「場所」。鈴木は白い部屋の主と遠隔で「念話」ができる。

- 青い部屋(Ch.1第7話)、白い杉綾の座も亜空間の場所。詳しい説明はCh.2第24話(閑話:2086年 上席の座参照。


## ウルデンゴーリン王国


- 鈴木たちが召喚された国。第六十五世界。欧米風。Web小説用語の「ナーロッパ全開」。討伐はライトウエルマーシュ赤の森で行われる。(Ch.1文中では特に記載していないが)19-20世紀? ヨーロッパ風味+魔法/連合由来の先端技術が混ざった国。魔法があるのが常識なので、「魔獣」や「魔人」はいない。


- 鮎田はウルデンゴーリン王国伯爵位。桑田と鈴木は子爵位。


## 二一世紀連邦


- 鈴木たちの凪海浦大学がある日本地方が属する国。第六十七世界。

- 結婚した後新姓作成制度で新しい姓に夫婦で改姓可能。夫婦別姓、夫婦同姓等も選択可能。

- 畑崎夫妻は日本地方第一行政地区在住。畑崎智司は地方公務員。

- 第一行政地区にあるみどり養護院は両親が事故死した鮎田(旧姓鈴木)歩が育った施設(第2話で言及)。

- 鮎田たちは連邦公務員に就職。鮎田数樹は連邦総務省・文書管理部・前時代工藝処理班所属。鮎田歩は研究所研究員。

- 連邦の一部の者は「フェデラルショートハンド」という速記記法を使う。

- 家電の部品は3Dプリンタで作ることが出来る

- 家電の修理技術者には認定試験に合格しないとなれない。


## 超現象


- Ch.1第2話で説明。キミア熱力学(錬金術の流れを汲む学問)研究グループにより2035年に発見された画期的な技術のこと。例えばCh.1第1話では顔の「浄化」に「超現象」が使われる。


- 「超現象研究A」は凪海浦大学の教養課程必修科目。鈴木、鮎田、畑中、神崎、烏池、桑田はこの科目で一緒のクラスになる。


## 超現巫亜種異端(リアルキミアパンク)


キミア熱力学の亜種であるキミア巫術を超現象と組み合わせた犯罪を重ねつつ、制度や技術の抜け穴を巧みにかいくぐって、活動している組織。


## キミア巫術


- 超現象を開発した研究者が専門だったキミア熱力学と同じく、錬金術の研究成果を元にした『術』。ただし、こちらは学問とは言い難い。キミア熱力学の亜種と言えるが、似て非なるオカルト思想。

- 烏池の親族が経営していた医療法人INCOは超現巫亜種異端リアルキミアパンクとの関わりがあると言われている(§7で明らかになる)

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