拝読致しました。
意氣瀬さん……(´Д⊂ヽ
椿売さん、自分を抑えられなかったのですね。
自分の命を以って贖う覚悟はあっても、その誘惑に耐えることはできなかった。
やっぱり、善悪を越えて椿売さんは生ききった感じですね。
恐らくは自らの病弱を呪って逝った意氣瀬さん、想像していない惨劇を目の当たりにして箍が外れてしまった久君美良さん、三人の悲しみを飲み込んで焼く炎。
どうか、その炎で皆の負の情念が浄化されんことを。
作者からの返信
たけざぶろう様
こんにちは。
ようこそ、いらっしゃいませ。
昨日、自分で「紅艶」を読み返してみたんですが、ここは何があったかスッポリ抜けて、いきなり椿売の独白になるので、わかりづらいですね。
物語を発表したのは、「蘭契ニ光ヲ和グ」が先で、そこのなかの「剡剡 〜えんえん〜」という回で、この時、何があったのか、書きました。
まったく同じ事を書いてもつまらないだろーよ、と、何があったのか、ずぱーっとカットしてしまったんですよね……。
何があったかここで書くと「剡剡〜えんえん〜」を読んだ時の、読書の楽しみが奪われるので、書かないでおきます。
椿売は、ずっと、広瀬を愛してる、とは口にしなかった。自分の夫、たった一人の運命の男は意氣瀬である事は明白なのに、広瀬も同時に愛してるなんて、罪深すぎて、口に出して認められません。
認めた時。
己の罪に、もう、どんな顔をして生きていったら良いのかわかりません。
だから、死ぬのです。
命を捧げてくれた意氣瀬に、己も命を捧げ、ともに泉路《せんろ》(黄泉路のこと)を歩くのです。それしか、意氣瀬への愛の証明はできません。
広瀬には生きていて欲しい。
それが、彼女の愛でした。
椿売は生ききったと、私も思います。
この炎で、三人の悲しみ、負の情念が浄化される事を祈ってくださり、ありがとうございます。
そうかあ……あの話のあの部分に繋がっているんですね。
もしかしたら、久君美良が自死を選ぶのかと思っていたのですが、そうではなかった。
そうではなかったけれども、結局同じことになってしまい、私の嫌な予感は当たってしまいました。
何とも、哀しいことです。
すでに「剡剡 〜えんえん〜」でこの場面が描かれていたわけですが、何とも申し訳ないことに私の頭からはすっぽり抜けてしまっていたようです。
恐らく広瀬に意識をフォーカスしてしまっていたからだと思います。
彼がああなってしまった理由を明らかにする話だと、思い込んで読んでいたからでしょう。
久君美良がしたことは愚かな行為ではあるのでしょうが、それでも私は彼女を憎めないでいます。
何故ならば……もっと気に食わない存在がいるからです。
登場人物がどんな悪役やしょーもないクズな人間でも、作者というのはきっと何らかの思い入れを込めているだろうことは、自分がそうであることからして想像に難くありません。
だから感情的に指弾するような真似は失礼なことだと重々承知しています。
でも、それでも、私は広瀬が許せません。
下手したら、比多米売以上に。
彼の身勝手な行動が、直接的には意氣瀬や椿売を破滅させ、間接的には久君美良を殺し、広河を歪ませ、結局のところ大川を深く深く傷つけることになったのですから。
そのくせ「私の一部は灰になり、黄泉に渡り、今もその妹と共にあるのだから。」などと。
どうせなら一部と言わず、全て灰に……
すみません、やっぱりこの時間帯だとどうも書くことが感情的になってしまいます。
いつものこととは言え、本当に申し訳ありません。
それにしても……あの古志加の物語を読んでいた頃が懐かしく思えます。
サイドストーリーと言うと、個人的には割とほんわかしたものだったり(まあお話にもよるのでしょうが)、登場人物の一人を深堀するようなものが多かったりする印象なんですが、これほど作品世界に厚みを持たせて、読者の感情を揺り動かす作者様の力量には、本当にもう脱帽です。
改めて感謝申し上げます。
……何だか読了後の感想みたいになってますが、まだあるんでしたね(汗)。
引き続き拝読いたします。
作者からの返信
夏井涼さま
久君美良は、もうこれは、自死と言って良いでしょう。
死のうと思って、意氣瀬の部屋を訪れたわけではありません。
椿売の秘密を言うつもりもありませんでした。
ただ一夜、想いを受け入れてほしかった。
そしてあわよくば、自分も、吾妹子の一人に加えてほしかった。
正妻はいて、一番愛される側室は椿売がいて、三番目の女でも良いから……。
自分が深く意氣瀬を愛し、良く尽くせば、意氣瀬の愛情のかけらでも、頂戴できるのではないかと……。
しかし、炎を見て、全てを失敗した事を悟りました。
もう生きてはいけない。
意氣瀬さまがあの炎のなかにいるなら、あたしも、あそこに行く。
……。
広瀬は広瀬で、強い恋愛感情に突き動かされて、越えてはならない一線を越えてしまいました。
恋に狂う。
時に、「してはならない」とわかっているのに、自分の行動が自分の意識を裏切り、止められない事があります。
それが、恋の一面でもあります。
人道を踏み外す。
それが、あちこちに波紋を呼びます。
そして広瀬は、その後の長い長い人生を、悔恨とともに歩いていく事になります。
重い十字架を背負い、ごつごつした岩の道を、裸足で歩くような道です。
サイドストーリー、そして前日譚。夏井涼さま、たくさん、私の物語におつきあいくださいまして、ありがとうございます。
きっと、ご覧いただくたび、物語は深まっていきます。そしてやっぱり古志加は主人公。
私も古志加を書くと、ホッとします。(笑)
うーん、返信がまとまらないまま長文になってしまいました。
「広瀬嫌い!」とすすきの穂で、広瀬をぺしぺし叩いておきましょう。
そーっと後ろから近づいて……。
ぺしぺし!!
広瀬「何をする! 衛士!」
加須 千花「わーい、逃げろー。」
コメントありがとうございました。
加須 千花さま
こんにちは。
ついに、椿売と意氣瀬さま、そして広瀬さまのあいだに悲劇的な幕が下ろされてしまいました。椿売が広瀬さまに惹かれることがなければ、意氣瀬さまの体がもう少し元気ならば、広瀬さまにもっと心惹かれる女がいれば……と考えても仕方ないことなのでしょう。
いつの時代も、なぜかいくつかの歯車が同調し、かみ合うはずのなかったもの同士が動き始め、だれにも止められない力強さで暗い未来に向かって進んでいくってこと、ありますね。
意氣瀬さまの剣の先が他の誰でもない自分に向いてしまったことが、意氣瀬さまの心情を物語っていて哀しいです。
作者からの返信
佐藤宇佳子さま
おはようございます。
ようこそ、いらっしゃいませ。
……そうです。少しでも、誰かが、他の方向を向いていたら……。
悲劇です。
意氣瀬の剣の先は、己を傷つけ、そのことで椿売と広瀬を、深く傷つけました。
そのことが、意氣瀬はわかっていたのでしょう……。
コメントありがとうございました。
愛とは一途であればあるほど良いイメージが付きがちですが、椿売さんのように愛の方向がたくさんあってもいいとは思うのです。ただ、「こじらせない」自信があるのなら、ですが。
やはり最期は壮絶になってしまいましたね。
しかしこれはこれで、ある意味ハッピーエンドという気が。
もう愛と愛の間に挟まれなくていいというか。椿売さんも、やっと一途になれたような感じがします。
作者からの返信
虎の威を借る正覚坊様
おっしゃる通り、でございます。
愛の方向はいくつかあっても、良いと思います。
こじらせ、挙げ句、身を滅ぼさなければ……。
椿売、自分から広瀬を誘ったわけではありません。広瀬に押し切られるまま……。しかし広瀬が魅力的すぎて……。
もらい事故のように巻き込まれてしまいました。
最後は壮絶、そして、やっと、「愛と愛の狭間に挟まれなくて」良くなり、ある意味、ハッピーエンドです。
コメントありがとうございました。
一話読んで来ました。
椿売を殺しに行ったかと思ったら意氣瀬は自害されたんですね、そして久君美良も火の中に飛び込んだと言う事は……ですよね。
誰が悪いとかの問題じゃないですね。
結局誰も幸せにならないし、残された広瀬が一番辛いわ。
作者からの返信
桜蘭舞さま
「剡剡」もお読みいただき、ありがとうございますぅ〜!m(_ _)m
リンク貼り付けておいて良かった。
嬉しいです!
意氣瀬、あてつけに……、です。
そして、久君美良も……、おっしゃるとおりです。(次話で少し触れます。)
まあ……強いて言えば、自分を止めることができず、まっすぐ道を踏み外した広瀬弟が悪い気がします。
彼は一生この十字架を背負って生きます。ゆえに、残され、一番辛いのです。
とは言っても、愛が走る時は、止めようと思っても、止められぬもの。
そういう意味では、誰が悪いとかの問題じゃない、ですね。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
なるほど、椿売、最後は心まで裏切ってしまったわけですか。
裏切りの代償としての意氣瀬さんの死を迎え、自身も死を選んでしまう.......
何とも壮絶な結末でした。
残された者も大変ですが、鎌売さんは事の発端を知ることがなかったというのがせめてもの救いではあるのでしょうか......。
作者からの返信
川野遥さま
こんにちは。
ようこそ、いらっしゃいませ。
何を持って、女は男を裏切るのでしょうか。
身体でしょうか。
心でしょうか。
心はままならぬもの。
身体を夫以外に許せば、裏切り……。それも、もっともです。
心は?
椿売は意氣瀬を愛していました。
同時に、違う魅力を持った広瀬も愛してしまいました。
どちらかに、心が大きく傾いていたら、椿売は、もう少し楽でした。
自分でも、どちらをより深く愛しているかわからなくなってしまったのです。
広瀬とは背徳の関係だったので、椿売は、広瀬に愛の言葉を与えませんでした。せめてもの線引きを自分でしようとしたのです。
しかし、きっとこれが最後の機会、とわかった時に、愛の言葉を広瀬に与えました。
そして、秘めていた愛の言葉を口にしたのならば、もう、生きてはいけません。
「運命の恋人」愛子夫を持ちながら、他の男も愛してしまった。生きていけない罪です。
ましてや、意氣瀬を自刃に追い込んでしまったのです……。
しかし、椿売は己の心を裏切ったことはありませんでした。
壮絶なことに変わりはなく、鎌売は事の発端を知ることがなかったのは、ほんの少しの救いである事でしょう。
驚きの長文返信、失礼いたしました。(^_^;)💦
コメントありがとうございました。
これは辛い…
分かっていた結末ですが、せめて長くは苦しまずに逝ってくれたことを願います。
義理なのか本心なのか、黄泉までついて行きました。
うむ〜、流石に、女の人だと、「仕方ないやつだ、じゃあ俺と広瀬、行ったり来たりするのはいいが、俺が呼んだ時は必ず来るんだぞ」と都合良くはいかなかったですね 苦笑
作者からの返信
海藻ネオさま
こんにちは。
ようこそ、いらっしゃいませ。
最後は長く苦しまずに逝ったと、私も思いたいです。
吾妹子を何人作っても良い、身分の高い意氣瀬が、自分だけに夢中なのです。
椿売は、震えるような喜びを感じ、意氣瀬の愛に満足していました。
広瀬が閨に侵入してこなければ、椿売は長く意氣瀬と添い遂げた事でしょう。
椿売は、意氣瀬を愛していました。
同時に、広瀬も愛してしまいました。
黄泉にお供する。
それが恋心のいきついた答えです。
「仕方ないやつ。じゃあ私と弟、行ったりきたり……」
意氣瀬が独占欲が強くなければ、そういった都合の良い道もあったでしょうが……。意氣瀬は許せませんでした。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
悲劇ですね。悲劇と単純な言葉で片づけられないだけに厄介すぎます。
女も男も同じです。二人を愛してしまった。罪深くはあるけど、簡単に責められない。
愛憎もつれての結果がこれでは、やるせないですね。
炎の向こう、久君美良が狂ったように声を上げている。実に印象的な場面でした。
何と言っていたか、予測はつきますが。
作者からの返信
水無月氷泉さま
こんにちは。
ようこそ、いらっしゃいませ。
はい、悲劇です。女も男も同じですね。
道を踏み外した恋でしたので、最後は、崖を真っ逆さまに黄泉まで、です。
とはいえ、椿売の心をつぶさに拾っていくと、二人を愛した───、それも、愛の形です。
単純に、おまえが悪い、と責めて終わりにできないです……。
愛憎もつれて、紅艶の花は業火に消えました。
最後、久君美良の狂ったような声が、印象的でしたね……。
なんと言っていたか、予測はつきますね。ご想像にお任せします……。
コメントありがとうございました。
破滅、だけどその上を行く想い。
広瀬の物語も拝読しました。初話の地震が全てを予見していたのですね。素晴らしい構成です。
椿売という女性が図らずして全てを持って行く。最後に広瀬の心まで。
愛憎の業火なんて陳腐な表現ではなく、繊細に張り巡らせた多くの想いを拾うと、恋や愛やエゴすら越えて、結晶化された美しい「あはれ」が揺らいでいた。
椿売という「あはれ」な女の儚なき美しさよ。
作者からの返信
福山典雅さま
こんにちは。
ようこそ、いらっしゃいませ。
「剡剡」もお読みいただき、ありがとうございます。
そうですね……初話の地震が全てを予見していたかのような、と捉えていただき、嬉しいです。
(あの地震は史実なので、私としては、そこまで計算して書いていたわけでは……(^_^;))
「愛憎の業火なんて陳腐な表現ではなく、繊細に張り巡らせた多くの想いを拾うと、恋や愛やエゴすら越えて、結晶化された美しい「あはれ」が揺らいでいた。」
ふおおおお……(゚д゚)!
ありがとうございます。
福山典雅さまのコメントが素晴らしいので、もう、私が何か言葉を付け足す必要はありませんね。
揺れる、たまゆらの、あはれ。
それを、この紅い業火のむこうに感じていただき、ありがとうございました。
思ったよりずっと早くこのシーンに来てしまいました!
椿売もつらかったんですね。
でも恋心は理性でどうにもならない部分もあるでしょうから・・・
椿売は最期、久君美良が飛び込んできたことには気づかなかったんですね。
また「剡剡」読み返しちゃいました笑
広瀬さまを止めたのは鎌売かな・・・ここで八十敷と接点ができたのだろうか?
作者からの返信
綾森れんさま
おはようございます。
ようこそ、いらっしゃいませ。
はい、もったいぶらず、バーンと話は進みます。
実際には、四月末に出会い〜翌年の秋、まで、時間は流れております。
椿売、このような心情でした。
辛かったです。でも、極上の男二人に命をかけて愛された、女のなかの女、という人生でした。
椿売は最後、久君美良の声だけ耳でとらえたようです。もう、誰だか……意識は……。
「剡剡」読み返していただけましたか。あれ? 綾森れんさま、これ三回目では……。ありがとうございますぅぅぅぅぅ(T_T)
そして、考察が鋭い……(^_^;)
コメントありがとうございました。
意氣瀬さま、自死なさったのですか。
気の毒に。
椿売は罪深い女だけど、ふたりの男に熱烈に愛されて、どちらも愛してしまう気持ちもわかる気がします。
意氣瀬さまと一緒に焼死ですか。
彼女は彼女で、苦しんだのちに、最後のけりをつけたのですね。
作者からの返信
本城 冴月さま
こんにちは。
ようこそ、いらっしゃいませ。
意氣瀬さま、あてつけで自死です。とうとう、こんな結末に……。
椿売は、「ふたりの男に熱烈に愛されて、どちらも愛してしまう」
まさに、それでした。
女として嬉しい気持ちと、罪深さ。両方を抱え、ずっと苦しんできました。
意氣瀬さまと一緒に焼死。
ともに黄泉に。
大輪の椿は焔に燃えあがり、最後のけりを、自分でつけました。
コメントありがとうございました。