1話 異世界転生

どこを見ても一面真っ白な世界で俺は一人呆然と立ち尽くしていた

「俺は死んだのか..ここは死後の世界か...?」

そう呟き辺りを見渡していると


「そうよ。あなたは前世で死んだのよ。」


どこからともなく声が聞こえた。俺は状況が理解できず、どこから声が聞こえてるのか辺りを見渡していると


「上を見て。」


その言葉に従い上を見上げると今まで見たことのないような綺麗な女性が浮いていた。純白のドレスのようなものを纏い、腰近くまで伸びたブロンドの髪はまさに美しく、余りの綺麗さに見惚れて固まっていると


「私は最高神メルドアート。貴方にはこれから異世界を救っていただきます。」


「はい!?ちょっといきなりすぎてよくわからないんですけど..俺は死んだんですか?」


その神の突然の発言に困惑し、そう聞き返すと、その最高神は自分が死んだこと、これから転生する異世界の事。その異世界に行って世界を救うこと。俺が疑問に思ったことに答えてくれた。


簡潔にまとめると俺はやはりトラックに轢かれて死んだらしい。そして転生する世界は色々な種族が住まうエデンカル。その世界はメルドアートを中心に神たちが管理していて、比較的平和な世界だったが、邪神がその世界に介入してきたことにより、世界滅亡の危機にあること。状況については理解できたが、色々聞いたことで新たな疑問ができた。


「あの..何で俺なんですかね?もっと他に俺より力がある人とか..頭が好い人とか他の人の方がいいとおもうんですけど」


自分で言うのも何だが、俺はギャンブルにはまり、借金まみれになり挙げ句の果てに嘘までついて金を借りていた男だ。そんな男よりいくらでもまともな人間の方がいいはずだ。


その疑問に対し、神は


「異世界転生する時に重要なのは今の肉体ではありません。今までの行いでもありません。死ぬときに何を思い、次はどう生きたいと思ったかです。死ぬ間際に考えた事は直接魂に刻まれ、来世ではその思いを叶えるために行動するようになります。貴方が願ったことは、人を救えるようなまともな人間になり、少しでも回りの人間を幸せにすることですね?」


俺は確かに死ぬ間際、一言一句神が言ったことを思っていた。


「今から行く世界は誰かの助けを必要としています。貴方がなりたかった、人の役に立てるような人生を送るのはぴったりだとおもいますよ?」


その言葉に俺は不安や高揚感、様々な感情があったが、


「わかりました。来世は必ず人の役に立てるような人間になります。俺をその世界に行かせてください!必ずその世界を救い勇者になります!」


その答えに対し神は軽く頷くと、俺の体が光りだした。


「これからあなたの魂を異世界に飛ばします。あなたの望みに答えられるように私からささやかな餞別を送らせていただきます。きっとあなたの力になってくれるはずです。どうなるかわかりませんが、また会えるのを楽しみにしています。」


その言葉とともに俺の意識は徐々に薄れていった。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

勇者になれたと思ったのに!? @miyabiran

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ