第9話

俺とシャールが揉めていると、クランちゃんが割って入ってきた。何故か、俺の横にたつクランちゃんはシャールを諭すような口調で言うのだった。


「シャールちゃん、一緒に帰るって言うのはダメかな?あたしとシャールと彼と三人で」


どうかな?と俺の方を向いて、提案してくる。シャールは黙り込んで少し考える素振りを見せた。いつも謎をとく時に見せる顔である。


そんな真剣に悩むことなんだろうか?ただ一緒に帰るだけだろう?それに俺の依頼解決のためにクランちゃんを派遣してくれたのでは無いのか?


「そうしよっか、じゃあクランとワトソンも帰る準備して」


そう言ってシャールは荷物をまとめ始めたので、俺は自分の机へと戻った。その時、俺の視界の端で緑色のが動くのが見えた。


「どうもどうも。親友枠の楠木ちゃんですよー」

「なんだ?俺は忙しいんだ。今日こそは彼女が出来るかもしれないんだよ。邪魔だけはしないでくれよ」


俺が忠告をいれる。俺は真剣に言ったのに関わらず、楠木は俺の事を嘲るようにして笑う。


「いやいや、まだまだですねー。帰り道には気をつけるんだよ。多分だけど、修羅しゅっらになると思うけど、君のせいだしね」

「そんなことは無い。俺は立ち回りには定評があるんだよ。空気読むのは得意なんだ」

「空気読むのが得意ね……」


何かを思うように、楠木が黙り込んだ。俺は彼女の次の言葉を待つためにただ彼女を見つめていた。


次に顔を上げた時には少し真剣な表情をしてから、一言だけ言うといつものふざけた顔に戻った。


「私がついてってあげようか?」


その言葉には何が含まれていたんだろうか?俺が返答を探している間に、楠木の笑い声によってかき消される。


「嘘だよー。じゃあ親友枠は幸せを願って帰るとするよ。頑張ってくれたまえ」

「おう」


俺が返事を返すと同時に、後ろからシャールが声をかけてきた。


「最近、楠木さんと仲良いよね。私、まだ喋ったことないや。あの子って絶対に可愛いよね……。私には分かるんだ」


そんなことを言って楠木のことを褒めている時には楠は行方をくらましていた。


探しに行こうか迷ったが、楠木のことなのでアニメイトにでも行ったのだろう。というか、あいつの予言ってよく当たるんだよな。


前もテストの欠点予言されたし……。恐ろしい。


「私、何しやってんだろ……」


私はラブコメのヒロインじゃないのに。ワトソンだってどこが空気読むのが得意、だ。


得意なら私の気持ちくらい汲み取ってくれてもなぁ……。


なんて、1番私が拗らせてるわぁ。一緒に帰ろって先に言っとけばよかったかなぁ。


◆◆

最後は楠木ちゃんの独白でした。

星が欲しい。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幼なじみの美少女天才探偵に助手の俺が「恋人が欲しい!」と依頼を出したら焦りはじめた話 伊良(いら) @hirototo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ