不思議なクラス
虹都れいん
第1話
このクラスは何かがおかしい。
僕が今まで担当してきたクラスとは異質な空気が漂っている。
「おはようございます」
朝のホームルーム。教卓に立って出席確認をし終えた僕はカレンダーを見た。
「もうすぐ定期考査があるな。まだ3年生じゃないからって気が抜けてるやつ。あとで後悔するのは自分だぞ。最近クラスの集中力が保てていないと他の先生方からもご指摘いただいている。皆が注意し合って一体となって頑張れよ」
連絡事項だけ伝え、僕は名簿を持って教室を出た。
一時間目、授業がなかった僕は職員室でまったりと次の授業プリントを印刷していた。
「先生! ホームルームでどんな助言したんですか?」
僕が担任を務めるクラスの一時間目の授業を受け持っていた若い先生が授業終了のチャイムが鳴った途端に職員室に滑り込んできた。
「どんな助言? 僕はテスト勉強頑張れって言っただけですが」
「そんなわけないでしょう? とりあえず教室見に行ってくださいよ」
若い先生に言われ渋々教室に向かう。
教室のドアを開けると……なぜか『教室中央で円陣を組んでいる生徒たち』が目に飛び込んでくる。
「はぇ?」
待って、何をしているの?
生徒たちの思考回路が読めず、変な声を上げてしまった。
「あっ、先生!」
クラスの頼れる委員長が僕が教室に来たことに気がついた。
「何が起きているんだ?」
そのまま委員長に問えば、委員長は何をわけの分からないことを、といったような視線を僕に向けてから
「先生が言ったんじゃありませんか。集中力を保てって。だからみんなで集中力を保っているんです」
っておい、違うじゃないか。
確かに僕は言った。『集中力が保てていない』と。
でも僕が言いたかった集中力って『中』心に『集』まる『力』じゃないって。
……やっぱりこのクラスは何かがおかしい。
不思議なクラス 虹都れいん @reintoday
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