ボケばあさんに小説は書けるか

008 文才のあるなし以前

　　　　◆2023年９月30日

ままならない荒れ山開拓で心身共に疲弊、かつ物忘れまで酷くなりすっかり老いぼれたと痛感するばかりだった昨年12月。唐突に、忘れてた昔を思い出した。

……私って、作家みたいにお話のひとつくらい書き上げてみたくなったことある人だったっけ──。　　　

女子高時代に他校男子と手渡し手紙交換し続けて以来、日記ともつかないものをたまに書きなぐるのが習慣づいてた。そんな積年の間にじんわり育ってた思いだった。

書きためてたものの中から選んだ下記は、最も自分の嗜好を表してる。

なのにヘタレ暮らし婆さんには今や乖離感はなはだしく、どっかの他人の作じゃあとしか受け取れない代物でもある。

それと、てんでカクヨム民には受けなさそう。

なので天ん邪鬼婆さん、知ったこっちゃねえずらと全文載せちゃうのだ。

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　🌒仮想現実庭園

データグローブを装着し終えるとオペレータは

しおれてた夏をもの憂くまさぐりだす

束ねられたチューブに圧縮されてたエアーが

漂うばかりだった想念を具象化しだす

滞ってたオペレータの血流がしだいに熱をおびだす

閉ざしてた両の瞼を薄く見開くのはその後

すると睡蓮の水鉢にもう電脳空間はたたえられている

さやぐ木立にも似た図形がゆらいでいる

たゆたうエメラルド色の発光放散 と点滅

ひたひたと昼のひとところに仮想の庭園が満ちている

鉢底に沈殿する泥土から浮上しだしている気泡は

わたくしという概念であり命の営為でもある

水鉢の液晶画面にオペレータの微笑がさざ波立つ

灼熱を拒む都市の一画に庭園は設けられているのか

神経細胞のシナプスにも似た高速道の騒音から遠く

それとも群衆がかかげ歩く脳塊のどれかにか

もしくは林立する高層建築の空調空間のどこかにか

過剰な自意識が光化学スモッグとなり時代を覆っている

人類の進化がたえまなく自然を侵犯している

太古からの本能よ貴方を電脳の回路へ追いやるしかない

入力された太古からの欲望が反映していた昼下がり

いつのまにやらオペレータは死の夢に入眠しだしていたようだ

脱ぎ置かれたデータグローブにつながるチューブの束は

睡蓮の葉で見え隠れに濡れたままだったが

そよぐ睫毛に似て表示画像は時にまたたくものの

露にやどった仮想現実庭園の全景は水鉢からつたい落ち

まさぐられてた一夏は再びしわみかけだし

ついにはらはらほぐれだすオペレータの骨格からは

無音にくねり落ちる臓腑が七彩にとろけだしている

睡蓮の花茎に時の水源をさぐっていようがいまいが

沁みひろがる泪なみだに蘇生した遠い夏が旋律となりだす

天頂へとゆるゆる昇ってた日がついに極めきる

それは──電離圏に隔離されてた日常が影を一気に無くす刻

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人生の日暮れ時ににじり寄ってる真闇からは、逃れようがない。その不安からも。

さし迫る毎夜の恐怖を最も手軽く忘れてられる手段として、思い出した願望利用することに即決したのだと、今夜ならよくわかる。

未知だったカクヨムへ唐突参入するという逃避を、すでに十月（とつき）しおおせたもんだから。

昨晩見えなかった満月がさっきまで東南の空に浮いてた。

そして20時半現在、不意の雨音がとぎれない。

隠れた月を、老いを照射しやまない不安とするなら、漆黒の雨音はカクヨム。

キーボードを連打する間だけは、無慈悲な月光に惑わされずすむ───。

となるとだ、私にとってカクという行為に、文才の有無はさほどな問題じゃない？

「お話」の完結をタナボタで待つこともまた。

そもそもこれから文章力磨けるだけの残り時間あんのか!?

さあて。真夜をたった1秒過ぎるだけで、早くも十月、時雨月となる。

でも私は……、この九月のようにはあまりキーボードは叩かずいようと決心。

お話をこさえるよりやはり、一進一退なこの荒れ山開拓にかまけるほうが、真闇へと寝落ちてく恐れに、確実な改善となる生薬なのを本心じゃ元から知ってるんだもの……。

知っててそのしんどさにヘタれ、カクヨム逃避してんなら、文章力が磨かれるはずもないだろう。

🔶不穏な韻律の↓フランキーゴーズトゥハリウッド、聴きながらこれまとめてる。

動画終いの曲【リラックス】のノリで、老いも忍び寄って来てくれないかなあ。

https://www.youtube.com/watch?v=AbCEF4sYSiY

【リラックス】だけなら↓

ザマミロで、メンバーも爺ぃになりはてちゃってるゼ～♫

https://www.youtube.com/watch?v=ujStRqk_-uU

月想ふ月のない夜も老ひやまづ

🔷Ｒ🔷Ｅ🔷Ｌ🔷Ａ🔷Ｘ🔷