怖い話(ショート)

kiyo

スマホと祠

 佐々木さんはゲーム好きだ。最近は地図を使ってモンスターを集めるスマートフォンのゲームを遊んでいる。


「歩く目的になって健康にもいいし、知らなかった町のスポットが知れたりするし、ついコンプリートを目指して頑張っちゃうんだよね」


 この手のゲームは町のスポットを訪れることでアイテムが手に入ったりするのだが、その日は仕事の帰り道にモンスターを集めるため、普段とは少し違う道を通って帰っていた。


 そして指定されたスポットに行くとそこには小さな祠のようなものがある場所だった。


 祠は手入れがされている感じがなく、かなり朽ちた感じだったらしい。


 佐々木さんはそれを少し気味悪く感じたらしいが目的はゲームなので彼はそこでアイテムを手に入れようとスマホをかざした。


 するとスマホの画面にノイズのようなものが走り電源が落ちた。


「くそっ、バッテリー切れかよ、タイミング悪ぃな」


 その日は諦めて帰宅して、スマホを充電しての日は眠りについた。



 ブブブ ブブブ



「ん?なんの音だ…?」


 夜中にふと目が覚めるとスマホのバイブのような音が鳴っていた。


 枕元に置いてあったスマホを覗くと2時22分。


「ひっ」


 充電されたスマホの明かりの影に中に何か良くわからない黒い人影がいた。


 その黒い影はコチラに気づくと、



 ずるり ずるり



 とコチラに向かってきた。


 佐々木さんは急に金縛りにあったのかまったく体が動かなくなった。



 ずるり ずるり



 そのなんだか良くわからない顔が迫ってくる。



 ずるり ずるり



「はっひゅはっはぁ」


 必死に声を出そうかとしたのだが、喉も硬直していてかおかしな声しかだせなかった。




 ふと気が付くと朝だった。気絶していたらしい。


 スマホを確認して見ると画面がヒビだらけで壊れてた。



「せっかく集めたモンスターのデータが消えたかと思ったけど、バックグラウンドでセーブデータが残ってて助かりましたよー」


 佐々木さんは今も変わらずゲームで遊んでいる。

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