次元戦隊 パラレンジャー
風雲 楽乃信
Episode1 戦士誕生!
荒れ果てた荒野に
『今日がお前の命日だ、パラレンジャー!』
怪物の首領とおぼしき人物が呼びかける。
『お前の仲間は全員殺した!もうお前に逃げ場はない!』
絶望的な状況だが、男は笑みを絶やさない。
「ふふっ、だろうな」
『おとなしく降伏するか、歯向かって犬死するか、選べ!!』
「どっちにしろ死んだよーなモンじゃねーか」
「…じゃあな、あとは頼んだぜ」
「パラレルチェンジ!!!」
そして男は大群へ向かっていく…
そこで俺は飛び起きた。
「またこの夢だ…」
ここの所変な夢ばっかり見る、一応医者にも診てもらったが異常はなく、手の打ちようがない。
「怪物と戦う男ってどこのヒーローものかよ、ってな…」
「(でもあの男、誰もいないはずなのにこっちを見た…?)」
「考えすぎか」
俺の名前は
平和な俺の人生、このままこれが続くはずだった。
”あの日”までは…
「ふんふふ~ん」
今日は金曜日、学校終わりに俺は週末の予定について考えていた。買い物に行こうか家でダラダラしようか、そんなことを考えていると、曲がり角で出合い頭にぶつかってしまった。
「あっ!ごめんなさい、前見てなくって…」
顔を上げると、顔に奇妙な被り物をした人がいた。
「……」
一言も発さずこちらを見る姿は非常に不気味だった
「あの…どうかしましたか?」
「いや‥‥失礼する」
一言だけ発すると、軽く礼をして仮面の男は去っていった。
「なんだったんだ…?」
疑問に思いながらもさらに歩みを進めると、またもや曲がり角で出合い頭にぶつかってしまった。
「痛っ!」
『ゲゲェ……』
「すみませ…ヒッ!?」
無理もない。レンの目の前にいたのは、緑色の肌・切れ長の耳・醜くねじ曲がった鉤鼻。到底人間とは認識できる存在ではなかった。
『ガガ…ゲアッ!』クイッ
緑の化け物は恐怖でへたり込んだレンを
『グオォッ!!』ブンッ
その中でもひときわ巨大なリーダー格と思われる怪物が、手に持っていた棍棒を振りかざすと、怪物たちはレンを追いかけ始めた。
「うわあああぁぁっっっ!!!!!!」
怪物が出てきた辺りから何となく嫌な雰囲気を感じていたレンは既に逃げの体制を取っていたため、逃げ遅れることはなかった。
レンは自他共に認められる程運動センスが良い。運動能力が高い、というよりは運動という行為自体への適応が早いのだ。全力で走っているうちに大型の怪物は撒くことができたが、小型や中型の一部はすばしっこい動きでレンのスピードに喰らいついてきていた。
そうして無我夢中で走り続けていると、いつの間にか袋小路に追い詰められてしまっていた。
「(まずい…!ここは最近倉庫になって助けを呼んでも人が来ない…)」
『ゲッゲッゲ…』
レンが息を切らしていると、さっきの化け物が追い付いてきた。始めは数も少なかったが、次第に後続も追いついてきて数を増す。
「(やるしかないか…?いや、この数相手じゃどうにも…)」
「お困りのようだね」
レンが声の主を探ると、太陽を背にして倉庫の屋根に仮面の男が立っていた。
「あなたは、さっきの!危ないですから逃げてくださいッ!!」
「フフ…他人の心配か、いい性格をしている」
「その性格に免じて少し手を貸そう」シュバッ
仮面の男は屋根からジャンプすると地面に着地し、腰のサーベルを抜いた。
「ハッ!ハッ!おりゃあっ!!」ドカッ バキッ
「フンッ!」ザシュッ
2人は次々と襲い掛かる怪物をなぎ倒してゆく。しかし…
ドッゴオオオン!!!
『グオオオオ!!!!!』
「あれはさっきの!」
けたたましい轟音と共に2人の前に現れたのはリーダー格の化け物だった。
「ロードだと!?奴ら本気のようだな…ならば!」ガチャ
仮面の男はどこからともなくケースを出し、中にある謎の機械を取り出そうとしたが…
『ガアアアア!!!!』ゴゴゴゴ…
「何っ!?ぐあっ!」
”ロード”と呼ばれる化け物の咆哮で男は吹き飛ばされてしまい、中の機械もいくつか飛び散ってしまった。
しかし1つが偶然にもレンの足元に転がり、それを拾い上げるとレンの脳内に声が響いた。
”パラレルチェンジ!!”
「この声は、夢の…?」
レンは足元の機械を拾い上げると胸の前に構え叫んだ。
「パラレルチェンジ!!」
すると機械が赤く輝き、それに呼応するように少し遅れてレンの身体も赤く輝き真紅の戦士にその姿を変えた!!!
『ガッ…パラレンジャー…』
『パラレンジャー!』『パラレンジャー!』
レンの姿を見た瞬間に怪物が騒ぎ始める。その姿は仇に怨嗟の声を投げかけるようであり、何かに怯えているようでもあった。
「パラレンジャー…俺の名前か!」
Episode1
戦士誕生!
次元戦隊 パラレンジャー 風雲 楽乃信 @hu-raku_un-raku
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