/25ブルーベル 謙遜
〔なんでも はできないさ〕
狭間の街ってやつは愉快気ままに喧騒無邪気。何せ舵取りのリーダーが好奇心のままに生きてる生き物なので仕方ないと言えば仕方ない。週に7回は何かしらが破裂した音が響き渡るし、月に3回以上はリーダーの発明品でに賑やかしくなる。
ア、勿論一番目につくのがリーダーってだけなので誤解は厳禁。狭間の街の住人ってやつはどいつもこいつも曲者揃いなので悪しからず。
教授なんてもうわかりやすく学者って感じで、にこにこ笑って好好爺気取ってる分厄介かも。演奏家はこっちもわかりやすく音楽家って感じ、そのくせリーダー史上主義の享楽主義なとこ。ドクターは「安息のためにぶん殴って眠らせる」みたいな過激派思考がなぁ。花屋は絶対自分で認めないけど芸術家らしく凝り性だからたまに声が届かなくなったりする。整備士なんてもう論外(当社比)、適当気取ってる風みたいに思われがちなだけで、実際そうだし。適当と言えば料理人かな、面倒くさがりのくせにワーカーホリックだから一周回って心配する。安心できるのは子供達くらい。
そういうわけで大抵トラブルのまとめ役は兄役だ。トラブルに巻き込まれるのが兄役ともいう。だって安心安全で巻き込んだって大丈夫だし!とはリーダーの言葉。新しい発明品のいの一番のテストは大概兄役だ、つい先日はエイリアンが体のうちから食い破ったみたいな光景をダイレクトに見せられた。
ただまぁこれも仕方ないことで、なにせ兄役を自称するだけあって、彼も彼とて厄介だ。皮肉ぶるくせに面倒見がいいというか、そうすることを好んでいる。口だけは嫌がって、その実仕方ないなぁ、やれやれ、と頼られることを喜ばしく思うタイプ。特にいっそう子供たちと、それから、そう、リーダー。
だってその根底に信頼がなければ起きない喧騒と面倒を、どうしたって喜ばしく思わないわけがないだろう?
なんでもなんてできない。だって自分の中に神様のようなあおいろは存在しない。むず痒くなってしまうのは、そんなあおいろの世界で生きているくせに子供らしく、わがままらしくに「あれをしよう」「これをしよう」「あぁ勿論手伝ってくれるよね?」なんて当然の顔で脅すみたいに道連れにしてからその姿!
本当ならば1人でなんだってできるくせにさ。もっともっと効率よく人を使う術すらあるだろうにさ。打算まみれのわがままだとあけすけに見せつけていながら、巻き込んでくる君の姿は馬鹿らしくなるほどこちらを信じ切っているから。
なんだってできる気がするのだ。なんでもなんて、できないくせにさ。
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