ショートショート書きなぐり

@ueto

惑星観察

 宇宙中のブームになっているのが、発展途上の惑星観察だ。

生命が存在しうる数多くの星を、モニター越しに覗くことができる。

それぞれの星に強烈な個性があり、いくら見ても飽きることはない。


 その中でも、最近私が気になっているのが、銀河の端の方にある小さな惑星だ。

最初は水で覆われているだけの何の変哲もない星だったが、徐々に植物が生え、美しい緑と青の惑星になった。

そして今は、体の大きい4本足の生き物が生態系の頂点に君臨している。

この生物の野性味あふれるデザインは、他の惑星のどんなものも及ばないほど秀逸だ。

田舎臭くて趣味が悪いと言う人もいるが、私はこの生物に強烈に惹かれている。


 が、しばらくするとこの生物たち急激に数を減らしていった。

急激な気候変動に適応できなかったのだろう。少し残念だが、どの惑星でもよくあることだ。

永遠に繁栄することなど出来はしないし、その刹那的な輝きが惑星観察の醍醐味でもある。


 長くモニターを見すぎたせいか疲れた。続きは明日にすることにしよう。

ちらっと見た限りだと、今度はどうやら二足歩行の小さな生き物が覇権を握ることになりそうだ。


朝起きてモニターを見ると愕然とした。

あんなに美しかった緑と青の惑星が、一面の焼け野原になっているではないか。

あらゆる生命は死に絶え、いくら眺めていても全く変化がない。

私が目を離した隙に、一体何があったというのか。

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