第115話

 「普段着として使える物を3着、パーティー用のドレスを2着欲しい。

ドレスの1着はオーダーメイドにして、こちらの希望するデザインを取り入れて貰いたい。

また、もしドレス用の下着などもあれば、それらも4着ほど買いたい」


「・・有り難うございます。

では先ずは既製のお品からご案内致します」


いきなりの大口注文に、驚きと喜びを交えた表情でそう答えるマイア。


「ミーナを宜しく頼む。

その間に、俺は他に3人の妻を連れて来るから」


「!!

・・畏まりました」


マイアの顔つきが、経営者のそれになる。


彼女に促され、少し不安そうに俺を見たミーナに微笑んで、店を一旦後にした。



 仕事中のエレナさん以外に『念話』を送り、3人に王都の借家まで来て貰う。


それからまた皆でマイアさんの店に行き、彼女に引き合わせた。


通りを歩いている時もそうだったが、店に入っても、妻達の美しさに周囲が見惚れている。


全員にミーナと同じ注文を出すと、マイアさんはその時点で店を貸し切りにした。


女性の店員3名を呼び、妻達1人1人に付き添わせて、その好みを尋ねて回る。


普段着と下着、既製のドレスを皆が選んだ後は、俺を交えてマイアさんとオーダーメイドの相談を始める。


「俺からの希望は、妻の其々に異なった色のドレスを製作して欲しいという点と、妻達の体型、殊に胸を美しく見せるデザインにして欲しいというこの2点。

それ以外は、妻達の要望を聞いてくれ。

費用は幾ら掛かっても良い」


「!!!

畏まりました。

当店の全力を以て事に当たらせていただきます」


先ずは各自の色から決めに入ったが、これはすんなり片付いた。


サリーが漆黒、今ここに居ないエレナさんはディープブルー(夕方、仕事を終えたら連れて来ると言った)、ミウが真紅、エミリーが純白、ミーナはライトグリーンだ。


そして胸のデザインへ。


サリーとエミリーは深い谷間を強調し、ミウは若干挑発的に、エレナさんとミーナは品良く纏めて貰う。


彼女達が採寸に入ると、俺は再び店を出て、エレナさんを迎えに行く。


仕事を終えた彼女を店に連れて行くと、他の皆は既に採寸を済ませていたので、サリーに頼んで、俺とエレナさん抜きで夕食に行って貰った。


エレナさんにも皆と同じだけ服を選んで貰い、採寸をして貰って、その後全ての会計へ。


「オーダーメイドのお品は、現時点ではお値段が付けられませんので、本日はそれ以外のご精算になります。

勉強させていただいて、総額35万ゴールドになります」


意外と安い。


1人当たり7万ゴールド。


この金額(7万)はゼルフィードだと庶民の約1年分の生活費に相当するが、貴族が着るような服としては良心的な値段だろう。


「大分おまけしていただいたようで申し訳ない。

もしご存知なら、こちらの服に見合う靴屋を紹介して欲しいのだが・・」


料金を支払い、そう尋ねてみる。


「それでしたら・・」


マイアさんは快く教えてくれた。


オーダーメイドの仮縫いに、1か月後にもう1度皆で来店するように頼まれて、手付金として白金貨1枚を渡して店を去る。


店先で、従業員全員が頭を下げて見送ってくれた。


「・・もうすっかりお得意様扱いね。

あれだけの買い物をすれば当然でしょうけど」


そっと腕を組んできたエレナさんが、俺に肩を寄せつつそう口にした。



 家に帰り、訓練を終えると、サリーに腕を引かれる。


連れて行かれた先はハーレムルーム。


そこには妻全員が待機しており、俺を見ると一斉にバスローブを脱ぐ。


「私は明日休めないから途中で抜けるけど、他の皆は当然朝までよ?」


「2人ずつ相手にしてれば、10回以上順番が回ってくるよね?」


エレナさんとミウが、そう言って俺をベッドに押し倒す。


「今夜の集いはあなたへの感謝の印です。

皆の気持ちを十分に受け取ってくださいね」


そう言いながら、サリーが濃厚なキスをしてくる。


ミウが俺の胸に舌を這わせ、エレナさんとエミリーが俺の物を同時に攻めてきて、ミーナはその2人の身体を愛撫する。


長い夜が始まった。



 全部で20回以上は放出したし、女性達はその5倍以上果てている。


回復魔法というのは、最早禁呪なのではあるまいかとすら思える。


人に睡眠という欲を与えてくれた神に感謝を。


甘酸っぱい匂いが充満する部屋の換気のために、窓を半開きにすると、1羽の小鳥が寄って来る。


お菓子をあげると、『お前も大変だな~』とでも言うようにさえずり、それをくわえて飛んで行く。


有られもない姿の妻達を尻目に、浴室で身体を洗い、珈琲を淹れてそれを飲み、一息吐く。


テーブルの上には、『あの時の声、部屋の外まで響いてたわよ。あんまり皆に無理させちゃ駄目だからね』との書き置きが。


エレナさん、回復魔法を使ってるのは彼女達なんです。


ご存知のはずでしょう?


もしかして、『私のいない所でそんなに沢山しては駄目』と、暗にほのめかしているのですか?


ただれた夜を過ごした後は、気を引き締めるために戦闘を。


エルダーウルフを護衛に置いて、帝国領の探索の続きに出た。



 前回の場所から約1時間走ると、大きな町が見えてくる。


しかしその城門は閉まっていた。


城壁の上に立つ見張りが、『来たぞーっ』と怒鳴り声を上げる。


それに合わせて城門が開かれ、騎兵が躍り出て来る。


どうやら待ち構えていたらしい。


思えば、こちらの情報が洩れていると感じた事が幾つかあった。


村の盗賊退治や、村娘のお誘いなど。


あわよくば俺を始末しようとでも考えていたのか。


随分とめられたものだ。


『ガイア』を装着し、飛んで来る矢を弾きながら前に進んだ。

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