第113話

 4階層に降りる。


ここには1体の魔物しか居なかった。


『名称:アークドラゴン

ランク:D

ドロップ:蘇生可能数回復の書(初回確定。1度のみ) 

     土の魔結晶』


自身に『回復魔法』を掛けてから、総力を以って挑む。


ブレスだけは当たらないように注意したが、腕や尻尾の攻撃からは偶に逃れられず、『ガイア』の持つ物理防御力に随分と助けられた。


約1時間後、恐らく体力の3割近くを減らして、どうにか勝利する。


土の魔結晶までドロップしたことに安堵あんどし、『蘇生可能数回復』とあるが、その回数がきちんと2に増えていることを確認して、4階層はもう少し力を付けるまで避けた方が無難かなと考える。


ただ、3階層には頻繁に来てレベル上げをする必要があるから、ここを『土の迷宮』と命名して、2回目の『乗馬』を代償に転移魔法陣を設置した。



 帰宅して、浴室で身体を洗い、浴槽の中で身を休める。


目を閉じてじっとしていると、誰かが静かに浴室内に入って来る。


身体を洗う水音がして、その後ゆっくりと浴槽に浸かってきたその人物は、俺の腰に跨ると、下半身を擦り付けてくる。


「エミリーだな?」


目を閉じたまま、そう口にする。


「当たり。

何処で私だと分った?」


「胸の大きさ」


腰の動きに付随して、彼女の豊かな胸が、俺の胸板をくすぐってくる。


「ええっ、それだけ?」


「あとは匂いと体重かな」


「お仕置き!」


目を閉じたままの俺に、濃厚なキスをしてくる。


「こんな時間まで起きていたのか?」


「ううん。

トイレに起きたら、浴室に明かりが点いていたから、きっと修だと思って」


「さっきの水音は、股間を洗っていたのか」


「馬鹿!

お仕置き!」


再び濃厚なキスをしてくる。


「・・もしかして、少し疲れてる?」


エミリーが、心配そうにそう尋ねてくる。


「少しだけな。

探索を頑張り過ぎた」


「あまり無理をしないで。

修は掛け替えの無い人なんだから」


「分ってる」


腰から降りた彼女が、両手で俺の尻を持ち上げ、元気のない俺の物を口に含んでくる。


柔らかで優しい舌の動きが、その唇と共に俺を労り、元気をくれる。


口から抜かれた俺の物が、今度は温かな肉の壺に収められ、四方八方からギュッと抱き締められる。


「修は動かないで。

私が『ヒール』を循環させるから」


俺を抱き締めながら、耳元でそう囁く彼女の唇が、徐に俺の物と重なる。


絡め合う舌や唾液と、繋ぎ合う下半身を通して、ゆっくりと魔法が体内を循環していく。


最初の頃は、繋ぎ合う手を通してしか魔力循環が行えなかった彼女だが、今ではこんな高等テクニックまで使える。


尤も、彼女が受ける快楽は、手を使った際の何倍にもなるから、無意識にその腰が震え、内部が収縮を繰り返す。


「無理しなくて良いぞ」


彼女の喘ぎで唇が離れた際、そう言ったが、反論される。


「無理なんかしてない。

疲れた夫のケアをするのは、妻の大事な役目の1つ。

今の私には、このくらいしか修の役に立てないから‥」


「夫婦の関係って、利害だけで成り立つものじゃないだろ?

お互いに欠けた部分を補い合う人達もいれば、ただ愛情だけで睦び合う人達もいて、仕事で普段は離れて暮らしていても、休みの日には食事や酒を共に楽しんで、近況を語り合うだけの人達もいる。

特に何かを与えてくれなくても良い。

側に居るだけで心が穏やかになる。

そんな相手を求める人だって多いはずさ」


「私は、修にとってのそういう人になってる?

して貰ってばかりで、何も返せていない私が」


「俺に回復魔法を教えてくれたじゃないか。

もし他の人だったら、『男性は回復魔法を使えません』で終わりだったはずだろ?

それにさ、エミリーの胸には夢が詰まってる。

この胸に抱かれているだけで、俺は幸せだよ」


「修は本当に女性の大きな胸が好きよね」


「大きさだけじゃない。

形や、全体のバランスなんかも大事なんだ。

その人の顔より大きい胸なんて、興醒めでしかない」


「はいはい。

修の妻達は、皆綺麗でスタイルも抜群だもんね」


「君を含めてな」


「フフッ、有り難う。

元気になって貰うつもりが、元気を分けて貰っちゃったわね」


「いや、元気にはなったぞ」


彼女の内部で、俺の物をグンッと動かす。


「あっ。

もう、馬鹿。

・・このままできる?」


「勿論。

妻の欲求を満たすのも、夫の大事な役目だから」


「ずっと後で良いから、あなたの子供が欲しい」


そう口にした彼女は、まるで俺の返答をさえぎるかのように、唇を重ねてくるのだった。

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