第111話

 帰宅して、朝の珈琲を飲みながら、皆にウンディーネの件を伝える。


ミウは歓迎し、ミーナとエミリーは純粋に喜んでくれたが、サリーとエレナさんには少し嫉妬された。


『従魔である彼女は、飽くまでも妻に準じる立場』だと説明したが、『しもべとはいえ魔物にまで持てるなんて』と、苦笑するサリーから他の皆に見えない所で尻をつねられ、エレナさんからは特に濃厚なキスを1分もされた。


出勤時間に余裕があれば、そのままベッドに連れて行かれたかもしれない。


事実、サリーからは『私にも回復魔法を教えてください』と手を引かれ、皆が移動した2人きりの時間を利用して、その後3時間も相手をさせられた。


足腰立たないようにして、深い眠りに就かせてあげたけど。


何だかもう、彼女の中が故郷のように思えてきて、同名の歌のリズムに合わせて腰の挿入を繰り返していたら、意味は分らないだろうけど、凄く喜んでしがみ付いてきた。



 ダセに顔を出すと、エルさんから『お話があります』と言われる。


最近になって、町外の森に盗賊が出るようになり、住人4人が被害を受けたらしい。


町から出て行ったは良いが、結局食べていけなくて、徒党を組んで盗賊化したみたいだと報告を受けた。


俺が騎士団には町内の治安維持しかさせないと言ったから、困っていたようだ。


彼女から大まかな出現位置を聞き出した俺は、その足で盗賊の討伐に行く。


森で獲物を待ち構えていた13人の男女の首を刎ね、死体をレッドスライムに処理させる。


全て食べ終えた彼が俺の前で吐き出した物は、全部で3000ギル弱と、身分証だけ。


それに俺が回収した数点の短剣を合わせても、特別イベントの足しにならなければ完全に時間の無駄だった。


屋敷に帰り、エルさんに身分証だけを渡して尋ねる。


「この町に冒険者ギルドはないのか?」


「ありますが、現在は機能しておりません。

代表者と職員が、町を出て行ってしまったので」


「・・次に同じ様な事があれば、遠慮なく『念話』で相談してくれ」


「はい。

・・それから、空き家の売却の件ですが、思った以上に需要が高く、既に180万ギルの利益が出ています。

全て金庫に収めてありますので、後程確認をお願い致します」


「もうそんなに利益が出たのか?」


「奴隷を解放したことによる住宅事情の活性化と、裕福な商人達の家が空いたことによる、小金持ちの住み替えが原因と思われます。

今後、もう少し利益が狙えるでしょう」


「臨時ボーナスを出す。

浴室に魔石をセットするのと、寝室での3時間、どちらが良い?」


「寝室で。

お風呂は、シアさんと一緒に公衆浴場に通っていますから」


それまでのきりっとした補佐官の目から、妖艶な女の瞳になってそう告げてくる。


「折角だから、『回復魔法』を教えながら抱くな?」


「嬉しい。

もっとあなたのお役に立つことができる」


領主部屋のベッドで、必死に俺を喜ばそうとしてくるエルさんに、こちらも彼女を満足させるべく腰を振る。


汗を飛ばし、愛液をしたたらせ、嬌声を上げながら何度でも果てる彼女。


そんなエルさんを抱いた時の選択肢に、俺は『一旦保留にする』を選んだ。


将来的にはどうなるか分らないが、今は単なる上司と部下の関係でしかない。


エルさんは俺を好いてくれているが、俺はまだそこまで踏み切れない。


サリー達とは明確な差がある。


繋がったまま意識を失っていたエルさんを抱き締めていると、その内部が収縮して、彼女が起きたことを伝えてくる。


「・・そう言えば、もう1つご報告がありました」


緩やかな動きで自身の子宮に俺の物を擦り付けてきながら、頭だけを起こした彼女が口を開く。


「解放された元奴隷の女性達から、娼館の建設許可を求める申請が出されております」


舌を伸ばし、俺の唇をなぞりながら、その合間に話を続ける。


「西園寺様はそういうのがお嫌いかと思って、回答を引き延ばしておりますが、如何致します?」


「今までこの町になかったのか?」


「ありませんでした。

娼館に通うより、好みの奴隷を買って抱いた方が、長期的に見れば安上がりなので」


「許可する」


「宜しいのですか?」


彼女が内部をキュッと締め付けてくる。


「理由としては2つある。

この町にはこれといった産業もなければ、娯楽もほとんどない。

外部から金を集め、住民の息抜きに寄与するなら、裏でそれを取り仕切る組織が介入しない限り、ある意味健全な産業として発展させることが可能だ。

税収も上がるだろう」


「確かに。

この町には収益の柱になるものがありませんからね」


「治安の維持にも役立つ。

手に職を持たず、何の後ろ盾もない女性達には、そういった仕事も重要な勤め先になる。

非合法で勝手にあちこちで客を取られるより、娼館を建てて娼婦達を一元管理した方が、町全体の治安が良くなる。

重要なのは、女性達を無理やり働かせないこと。

飽く迄も本人の自由意思で、その職業にたずさわせること。

辞める際にも、一切の制約を設けてはならない」


「・・そうですね。

皆が皆、身持ちが堅い訳でもないし、貞淑である必要はないのかもしれません。

私には理解できませんが、そういう女性も多いのでしょうね。

あの牢屋内での女性達のようにさせないためにも、本人の自由意思が最優先なのは理解できます」


「娼館の建設費に補助を出し、娼館を領主の管理下に置くことを条件に、許可を出せ。

その売り上げから税を少し余分に取り、加齢で働けなくなった女性達の再就職先を作る必要がある。

急がなくて良いから、何らかの案を暖めておいてくれ」


「分りました」


エルさんの内部から溢れて来る愛液が、俺の物を通して、その太股まで濡らしてきた。


「・・あの、そろそろ続けても宜しいでしょうか?」


まるでトイレを我慢しているような表情で、彼女がそう口にした。



 大浴場で共に身体を洗った後、仕事に取り掛かったエルさんと別れて、俺はゼオから先の帝国領に偵察に出た。


さっさと通り過ぎた最初の村では、そこを苦しめていた盗賊達を俺が討伐したと教えてやり、次の村では名産の果物を大量に購入して、その合間に魔物を狩る。


L、M、Nの低ランクの魔物は無視し、3つ目の村で一休み。


酒場兼食堂のような場所で、その店の名物料理を口にしていると、少し離れた席に居た冒険者風の男が静かに席を立ち、外に出て行った。


その後、村娘に見える若い女性からベッドに誘われたり(勿論断った)、商人の男性から金貨を渡されて情報を強請られたりして、その村を出るまでに時間が掛かった。


エルダーウルフやリザードサージャントを出して、彼らのレベル上げを図りながら、4つ目の村へ。


もう日が暮れかかり、『メイス』を代償にした転移魔法陣を設置して家に帰ろうとしたが、ここでも厄介事に巻き込まれた。

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