第100話
それから十数分、聴きたい事を粗方サリーに質問したカイウンさんは、今度は俺に尋ねてくる。
「そう言えば、私に何か渡したい物があるとか?」
「はい。
実は、先日ギルドに提出した宝剣の側には、その所持者と思われる方の遺骨と装備、そして日誌があったんです」
「!!!」
「装備品や日誌は勿論お渡ししますが、遺骨の方もお引き取りになりますか?」
「是非!
・・あの宝剣は、オルトナ大森林の調査団に参加した、私の祖父の弟だった方の物で、ずっと行方を追っていたんだ。
それだけでも有難かったのに、まさか遺骨や日誌が見つかるとは・・。
君にはできる限りのお礼をしたい。
何か望む物はあるかい?」
「・・それでしたら、火の魔石を幾つか分けてくれませんか?
浴槽にお湯を張る際に使いたいので」
「そんな物で良ければ、屋敷にある在庫をほとんどお渡しするよ。
でもそれだけでは今回の報酬として見合わない。
他にも何かないかね?」
「ではお言葉に甘えて、俺の自治領とこの町の貿易を認めてくれませんか?
現在は、帝国からの商人の侵入を拒んでおりますので」
「勿論、構わないよ。
自由にやって良い」
「有り難うございます。
お尋ねしますが、帝国からの荷が途絶えると、何か困る物はありますか?」
「・・特にないね。
そういう物は、王都経由からも入手が可能だ」
「あ、序でにお伝えしておきます。
先日受けたギルドの依頼で、この町の『ヤギン商会』と、王都の『グラン商会』に伝手ができました。
そこの指名依頼は、ほぼ俺の独占になりそうな気がします。
何か王都に届けたい時は、ギルドを通して俺に依頼してくれれば、2日以内にお届けしますよ」
「「!!!」」
「・・2日!?
あの距離を!?」
「ええ。
ギルド評価割増しのお急ぎ便なら、1日です」
「・・君は絶対に敵に回したくない。
今後とも是非仲良くやっていこう」
カイウンさんは少し疲れた顔をして、マリアさんは苦笑いをした。
遺骨と装備、日誌を引き渡し、代わりに火の魔石50個を貰った俺は、早速カコ村へ跳び、公衆浴場の浴槽に火の魔石をセットした。
サリーが造った物だから、当然、魔石のセット部分がある。
これでもう、毎日お湯張りに来る必要がなくなった。
ランクと頻度にも因るが、この魔石1つで約3箇月は持つそうだから、暫くは安泰だ。
ニエの村へ着替えたサリーを連れて行き、ミーナの実家にある湯船を取り除き、代わりに彼女が造った新しい浴槽を配置して、そこにも魔石をセットした。
転移魔法陣を設置してあるエミリーが使う家も、その内装工事が完全に済んでいたので、そろそろ彼女にこの村へ通って貰おうと思う。
ガフィさん達が住む家も内装が済んでおり、当の彼らは1週間以内に向こうを発つと、ギルド経由で報告があった。
溜まっていた身分証を納めにギルドに行くと、エレナさんから依頼がきていることを告げられる。
「例の盗賊退治の依頼よ。
大森林を30分程進んだ辺りに、盗賊達が根城を構えようとしているらしいの」
そこから『念話』になる。
『ただ、この依頼は少しおかしいの。
依頼者はここに所属する冒険者の1人で、その人が居るパーティーの評判はあまり良くない。
何だか嫌な予感がするから十分に気を付けて』
「分りました。
有り難うございます。
これから直ぐに向かいます」
少し大きな声でそう言うと、1人で現場に向かう。
エレナさんの予感が的中していた。
「よお、盗賊でも探しているのか?」
『マッピング』を見ながら人の集まっている所まで行くと、十数人の男達がニヤニヤしながら待っていた。
「お前らがその盗賊か?」
「ああっ、ふざけんな!
俺達はれっきとした冒険者だよ。
・・尤も、今から盗賊になるんだがよ」
「死にたくなければ有り金全部出しな。
お前が『アイテムボックス』持ちなのは分ってんだ」
「何だ、女達は連れて来なかったのか?
お前を始末した後、俺達でかわいがってやったのによ」
「極上の女達を独占しやがって、むかつくんだよ!」
「・・もう良い。
聴くに堪えない。
死ね」
ソルジャーラミアとリザードサージャントを出し、後から跡をつけて来た6人を始末させる。
「何だこいつ!
魔物を使役してるぞ!」
「散れ!
正面から戦うな!」
「もう遅い」
高々雑魚の十数人。
全てを始末するのに2分も掛からない。
死体全てから装備を剝ぎ取ると、あとはレッドスライムを呼んで処理させる。
全員を食べ終えた彼が俺の前で吐き出した物は、全部で4万ゴールド弱と身分証のみ。
後から跡をつけて来た者達を含めてこの額だから、本当にしけている。
まあ、こういう危険性があることは、予め考慮に入れていた。
他の冒険者達からすれば、盗賊退治に限定しているとはいえ、只で仕事を請け負う俺は、営業妨害の邪魔者でしかない。
でも、こういった職業は常に他者との競争だ。
早い者勝ち、より強い者が全てを得る。
別に盗賊退治しか仕事がない訳ではないのだから、文句を言われる筋合いは無い。
増してや集団で襲われるなんて論外だ。
ごみ掃除ができたと思えば腹も立たないから、さっさと現場を後にする。
因みに、ステータス画面の2枚目(これが在るのは俺だけかもしれないが)にあるイベント受注表の該当欄には、盗賊討伐数がしっかりと殺した人数分増えていた。
ミーナを迎えに行き、夕食と訓練を済ませると、エミリーを部屋に誘う。
他の皆は、俺が彼女に何を行うのかを分っているから、すんなりと自室に入って行く。
「修が誘ってくれるなんて珍しいね。
やっと私の(体の)良さに気が付いた?」
「それは最初から理解してるよ。
今夜は君には少しきついかもしれないけれど、頑張って耐えてね」
「・・そんなに激しくするの?
私、壊れちゃう」
今現在、仲間内で最も胸が大きい彼女は、腰を打ち付けた反動による胸の揺れが凄いことになっている。
「大丈夫。
そういうきつさではないから」
バスローブを脱いだエミリーの腕を取り、ベッドに優しく横たえる。
大きいだけでなく、しっかりと中身の詰まった彼女の胸は、仰向けになっても形を崩さず、美しい隆起を保っている。
男の夢が詰まったそれに手を添えながら、濃厚なキスを繰り返した。
「・・気持ち良過ぎて死ぬかと思った」
俺の腕を枕にして、半身を覆い被せてるエミリーが、感慨の籠った声でそう口にする。
この3時間で、彼女は優に20回も絶頂を迎え、幾度となく意識を飛ばした。
小刻みに痙攣を繰り返す彼女を、俺は心を鬼にして攻め続けた。
10回を超えた頃に一時身を離そうとしたのだが、彼女の内部が俺の物をきつく締め付けたまま離さず、おまけにその四肢が硬直したかのように俺の体に巻き付いていたので、ぐったりして脱力するまで、ゆっくりと彼女の子宮をぐりぐりと擦っていた。
お互いの汗と体液が混ざり合い、放出しなくても抽出が楽になった頃合いを見計らって、一旦引き抜く。
唾液の物とは違った、体液による糸を細く引き延ばしながらその身から抜かれた物を、エミリーがぼうっと眺めている。
隣に身を横たえた俺に、彼女は弱々しく寄り添って来て、静かに口を開いた。
「もう修の相手を1人でするのは無理なんじゃない?」
「今回は『念話』を仕込むのに必要だったから
「そうかなあ?
浴室での皆の姿を見ていると、それでも足りない気がするけど」
「女性の側だって、1人で相手をして貰った方が、大事にされてる気がして好きでしょ?」
「私は別にそういうのは気にしないな。
1人だろうと大勢だろうと、自分が大事にされているという気持ちが伝われば、それで良い。
寧ろ、私のせいで修が満足できない方が寂しいよ」
「俺は十分に満足してるよ」
「そう?
修は優しいからね」
エミリーがキスをしてくる。
「じゃあもう1回だけ、優しく抱いてくれる?」
「勿論」
彼女が完全に俺に覆い被さってくる。
穏やかな行為の中で、俺が『念話』を使って話しかけると、彼女は内部をぎゅっと絞って驚いていた。
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