第96話

 『念話』で予め知らせていたとはいえ、サリーとミウを再びダンジョンに連れて行く時間がかなり遅れてしまった。


尤も、午前中に銀の杖を入手したミウは上機嫌で、それで良いなら俺のをあげたのにと思った。


俺がいる事で3階層に進んだ彼女達は、相変わらず長剣や短剣のスキルを上げている。


魔物の数も、前回サリーが全滅させた時からまだそんなに増えていないから、楽に戦えている。


またレアが湧かないかなと見ていたが、さすがにそんな事はなかった。


夕食の30分前には切り上げ、俺はそれからカコ村にお湯張りに行って、その後全員でマーサさんの店に行く。


毎日ほぼ同じ時間に通う俺達のために、マーサさんは静かな奥のテーブルを2つ予約席にして、確保してくれている。


十何種類もメニューがあるのに、大体は皆が其々のお気に入り1つか2つで毎日済ませている。


俺とミーナは祝い事がなければアルコールを頼まないで果実のジュースを飲むが、サリーとエレナさんは毎回ワインを口にする。


その彼女達のために、ワインのボトルをキープしようとしたら、そんなシステムはこの世界にはなかったらしく、マーサさんに『うちの店で取り入れても良いかい?』とお願いされたので、当然頷いた。


夕食を済ませると、浴室での訓練の時間に入る。


これがあるから、皆夕食を食べ過ぎることはない。


最初の頃と比べると、循環させる魔力の濃度は1割増しくらいになっている。


サリーはもうこの程度の訓練で快楽にあらがえなくなることはないが、それでも最後に膝に跨ってくる。


今夜はミーナに『念話』を仕込む日なので、彼女に多めに放出しておいた。



 ファーストキスの相手であるミーナ。


彼女との性行為は大体緩やかに進み、激しい腰使いを必要としない。


まだそれ程長い付き合いでもないのに、まるで幼馴染を抱いているような安心感がある。


腰を動かしながら、『今日さー、○○で・・』とか世間話をしたくなる。


当の彼女はそうゆう時、快楽に溺れそうな顔を必死に元に戻そうとして、俺に付き合ってくれようとする。


そんな遣り取りが嬉しくて、つい彼女に甘えてしまう自分がいる。


だが、今夜は違った。


俺が放出する前に、彼女を10回以上果てさせないといけないから、最初から激しく腰を打ち付ける。


ミーナの頭に手を添え、ポニーテールの髪を優しく触りながら、下半身は彼女が俺の腰を両足で押さえつけないとならないくらいに躍動させる。


絶叫を抑えるためだけに、彼女は俺の口に吸い付き、いつものように舌を躍らせる余裕すらない。


全力で四肢を俺に絡めて、何とか意識を保とうとするミーナだが、俺の送り込む魔力がそれを許さない。


意識を飛ばしては、汗の粒が身体を伝う感触や、滑らかな彼女の肌で唯一、じょりじょりと擦れる部分の摩擦で目が覚める。


途中から、収縮すらしなくなった彼女の内部は、ただきつく俺の物を締め付けるだけになった。


2時間経って、念のためミーナのステータス画面で『念話』の存在を確認した俺は、任務完了とばかりに腰の動きを止め、虚ろな目で俺を見ていた彼女に回復魔法を掛ける。


「・・御免。

訳あって、今回はこうするしかなかったんだ。

『念話』というスキルを覚えて貰ったから、これからは離れていても頭の中で会話ができるよ」


「・・気持ち良過ぎて、何も考えられなくなりました。

他の事は何も見えない。

ただ修さんが私を抱いていて、私はそれを受け入れるためだけに生きていて、それで世界が回ってるように思えました。

こんな感覚を覚えてしまったら、もう自分で慰めようとは考えないでしょうね」


「訓練で毎日やってるのに、自分でも慰めてるの?」


「最後のは失言でした。

どうか聴かなかったことにしてください。

・・勉強のし過ぎで疲れた時、仮眠を取る前に少しだけする事があっただけです」


「何を考えながらしてるの?

・・もしかして、これ?」


ミーナの中に埋まっている俺の物を動かす。


「そう、これです」


彼女が意識的に締め付けてくる。


「でも、私の指だと大きさや太さが全然違うから、満足感が足りなくて途中で止めることも多いです」


「ミーナはかわいい顔をして、結構エッチなんだ?」


「愛する人に抱かれる喜びと、容姿は無関係です。

修さん以外には、こんな気分になりませんから」


抗議の締め付けをしてくる。


「今のは確かに失言だった」


俺も知らず知らずに、向こうの世界の商業誌に毒されていたのかもな。


帰ったらパソコン内の物を全て削除し、退会しよう。


「・・あの、スキルを覚えられたということは、ここからは普通に抱いてくださるのですよね?」


「お望みとあらば」


「では3回くらいお願いします。

子宮を満タンにしてください」


女性達曰く、濃い魔力を内包した俺の精液は、そう簡単には流れ落ちないのだそうだ。


ある程度時間が経つと子宮内でゼリー状になり、それを更に時間をかけて、ゆっくりと吸収していくらしい。


彼女達の魔力量の回復や増加が早いのも、そんな理由からのようだ。


「了解」


幼馴染のような性行為が始まった。



 満足したミーナが眠りに就いたのを確認し、浴室で身体を洗った後、大森林の探索を進める。


『ゴブリンダンジョン』の件で後退はしたが、1度探索した場所までは速やかに進められるから、以前進んだ場所までは然して時間が掛からない。


『マッピング』が新たな領域に来たことを教えてくれてから、約1時間、大きな湖が見えてくる。


湖水はとても澄んでおり、風景も美しいが、残念ながら魔物の表示がある。


ただ、何故か姿を現さない。


試しに、その辺りの小石を拾って投げ込んでみる。


反応なし。


より大きな石を投げ込む。


無反応。


う~ん。


まあ良いや。


魔物は無視しよう。


ソルジャーラミアとゴブリンプリンセスを呼び出し、水辺で好きに遊ばせる。


エルダーウルフとリザードサージャントは、レベル上げも兼ねて近隣の狩りに行かせ、死体処理にレッドスライムを同行させた。


ソルジャーラミアは装備を全てゴブリンプリンセスに預け、上半身裸のまま、水中に入って水を浴びる。


ゴブリンプリンセスも、身に付けている緑色のドレスを脱ぎ、全裸になって水に入った。


俺はその間、『造作』でテーブルと椅子を作り、彼女達のために用意した大量の果物を卓上に置く。


これまでの働きに感謝し、時間を気にせずに過ごさせてやった。



 2時間後、満足した顔をした全ての従魔を回収した後、この場を立ち去ろうとすると、湖の中から女性型の魔物が現れる。


『名称:ウンディーネ

ランク:G

素材価値:なし』


一瞬警戒したが、相手からは殺気が感じられない。


それどころか、何だか親しげに近寄って来る。


間近に来ると、その美しい容姿が、夜明け前のはかない月明りに照らし出される。


彼女が徐に手を伸ばし、俺の顔を撫で、唇を寄せてくる。


抵抗せずに受け入れると、今度はしゃがんでズボンのチャックを下ろし、俺の物を取り出して口に含んだ。


え?


それはちょっとやり過ぎでは?


この世界にはスマホなんてないから、たとえ外で性行為をしようが誰かに撮影される危険性はないが、人生初めてのお外での行為が、まさか魔物相手になるとは・・。


しかし、彼女上手だな。


人とは違うその感触に、10分も掛からずに口内で果てる。


それを全て飲み込んだ彼女の体が、薄闇で淡く光った。


唾液ではなく、水で洗われたような感触の後、俺の物を口から出して丁寧に終ってくれた彼女は、立ち上がると俺を抱き締め、消えてゆく。


【魔物図鑑】を表示させると、該当箇所に彼女の姿があった。


ただ、その名称に付加価値が付いている。


『ウンディーネ(UR)』


・・何で?


思い当たる事は、先程の性行為くらいしかない。


今思えば不思議だった。


彼女に攻撃を加えて弱らせた訳ではないのに、どうして従魔になったのか?


俺は彼女に従属の要求すら出していない。


それから、最初は無反応だったのに、何故今になって姿を現したのか?


もしかして、従魔の彼女達を大事にする姿勢が伝わったから?


この場で幾ら考えても、それは所詮しょせん推論でしかなく、言葉を話さない彼女にも聴けない。


新たな従魔を得られたことは幸運だし、それが美しい女性なら言う事無い。


そう割り切って、先へと歩き出した。

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